投稿日:2012年10月29日 研修会
日時 平成24年10月26日(金)18時15分~
場所 サンルート釜石
一般講演 インスリン治療例へのDPP-4阻害薬の追加投与の検討
演者 盛岡市立病院 糖尿病代謝科科長 引地勲 先生
特別講演 心イベント抑制を見据えた血糖・脂質・血圧管理について
演者 豊郷病院 院長 蔦本尚慶 先生
釜石地区の糖尿病対策の一つとしての講演でもありました。まず引地先生の講演でDPP-4阻害薬の有用性について実例を挙げてお話がありました。今後の糖尿病治療の方向性としてHbA1cを5%まで下げる事だけが必要ではなく、患者の事(生活習慣など)を考えた治療を目指すように変わっていく事をあげられていました。また、メトホルミンを中心としたnon-SU剤での治療に傾いてきているとおっしゃっておられました。
続く蔦本先生の講演は、循環器医師として心血管イベント抑制のための血糖、脂質、血圧治療の重要性を種々の臨床試験結果をもとにお話しされていました。話の中心にあったのはBNPで、心不全のマーカーであり、心不全状態を改善する作用を持つ事を話されていました。さらには、DPP-4はGLP-1をはじめとして生体の色々な物質を気質とするが、その中にはBNPも含まれている事。そして、DPP-4阻害薬はDPP-4によるBNPの分解を抑える事によりBNP濃度を上昇させ、心臓保護作用を発揮するのではないかとの考えを臨床データを交えて示しておりました。DPP-4阻害薬は糖尿病治療だけでなく、心機能が低下した糖尿病患者さんにも有用性が期待され、今後ますます伸びていく薬剤ではないかと感じました。
松田智行