先日、保存していた新聞と新聞や雑誌の切り抜きを読み返しました。
現在企画中の研修カリキュラム、その時の教材を作成するための予備知識を集めるためです。全て東日本大震災に関するもので、そのまま保存していた2011年(平成23年)3月12日から3か月分と、この2年間で集めた切り抜き全てです。
3.11から2年以上も経過して、改めて読み返しながら、つくづく感じ入ったことがあります。
その一つは、大震災のような非常時ではマニュアルは通用し難い、ということです。通用し難いのは、マニュアル内容の多くは想定内のことに対する手引きだからでしょう。そして重要なことは、そのこと(つまり、通用し難いということ)を忘れてはいけない、ということです。さらに掘り下げて考えると、通用し難いことを繰り返していては学習能力が無いことが露呈、という情けない姿が白日の下に晒されてしまうことになります。
日々のルーティン業務を効果的効率的に遂行するための指針として、マニュアルが必要なことに異論はありません。しかし、そのマニュアルの多くが机の引き出しで休眠状態になっている気がしてなりません。そのマニュアル、日々の状況変化に即応して、都度キチンとメンテナンスしながら、内容の質をスパイラルアップしていかなければ意味がありません。さらに、手引きとしてスパイラルアップしたとして、それが日々実行されていなければ、当り前化されていなければ、絵に描いた餅でしかありません。無用の長物、無駄の象徴になってしまいます。
そんなことを思い知らされた5月の連休でした。
さて、今回のエッセイは、最近の問題意識をつぶやいてみます。
問題が発生し易い箇所はどこか?
どの会社にも事業目的があります。そして、競合する他社との競争や経営環境の揺れ動く変化の中で、掲げる事業目的を達成するために、多くの会社では、役割を分担し合う分業体制をとっていると思います。それを動かす仕組みとして、組織というものが存在しています。組織図が会社の理念を表現する手段の一つである、といわれる所以でもあります。
分業体制をとっているということは、どのような仕事であれ、自分一人で仕事が完結するということはほとんどありません。自己完結型と思えるような仕事でも、会社全体の分業の中のある一部を分担して、会社全体の事業目的達成に貢献しているのです。
分業体制の中では、分担する業務に関する職務分掌や組織運営上の取り決めなどを明文化して、効果的な業務遂行や顧客サービスの品質維持に努めています。それでも、時々問題が発生することがあります。ハインリッヒの法則に鑑みれば、かなりの頻度で発生している可能性があります。ヒヤリハットも含めて顕在化した問題を観察していると、ある傾向に気づかされます。
気づきの一つは、「仕事は流れである」ということです。もう一つは、「仕事は流れである」という認識の度合いで、その高低で問題発生時の着眼点に大きな差が出てくるということです。
つまり、問題が発生する箇所の多くは、分担した仕事(組織)と仕事(組織)の継ぎ目に存在するということです。分担した仕事(組織)と仕事(組織)の継ぎ目に、問題が発生しやすいということです。仕事と仕事の継ぎ目は、役割分担している仕事の人と人との継ぎ目でもあります。その継ぎ目に問題が発生した場合、お互いが責任逃れをすれば、根本解決が難しくもなります。
何度もそのような苦い経験を繰り返しながら、だからこそ、Face to Faceの密接なコミュニケーションや、提唱しているノーサイドミーティング(真面目な雑談会)の日常化が大切だ、ということを思い知らされるのです。さらに、同じような問題意識が共通認識まで行き着くコミュニケーションも欠かせません。報連相が軽視されがちです。それでも、ホウレン草(報連相)を小まめに植えている会社や組織は、そのような経験からの学習効果のような気がします。
いずれにしても、多忙な中、咽喉もと過ぎれば熱さを忘れないようにしたいものです。
(2013.5.7記)