エッセイ6:初心の真意をご存知でしょうか?

投稿日:2011年11月20日

 10数年前にビデオカセットレコーダーを購入いたしました。

 ソニー社製のWV-H6で、VHSとVideo8の両方の録画・再生が可能なビデオデッキです。教材研究したり、研修などで活用したい番組を録画するために入手したしました。1998年から2004年までの6年間には、120分用のカセットテープを90本は録画いたしました。しかし、それから以降のテープ本数は10本程度です。最近では、録画したいと食指を動かされるような魅力のある番組は、ほとんどなくなってしまいました。

 また、私が担当した研修は、出来る限り8ミリビデオに録画しました。何度も何度も見直しました。進め方の課題や教え方の間違いが無かったかのチェックを、念入りに行った記憶が蘇ります。徹夜するほど没頭したことは、一度や二度ではありませんでした。

 さて、私が運営した研修所感を前にしております。この数日、時間をかけて、一人ひとりの思いに耳を傾けてみました。想像力を稼働して感じとる努力をしました。

そこから見えてきたのが、「初心忘るべからず」でした。「初心安心、初心立身」でした。

初心の真意をご存知でしょうか? 

能役者・能楽師の世阿弥の言葉に、「初心忘るべからず」というのがあります。著書「風姿花伝」に出てくる有名な言葉ですね。

この言葉の意味を問うと、ほとんどの方は「思いたった時の前向きな気持ちを忘れない」というような言い方をされます。

初心の真意は、そうではないようです。

自分の芸が未熟であったこと、をいつまでも忘れるな」という意味なのです。その真意は、人気の出た若い役者に対しての戒めの意味で使っていたのです。

前回と今回の2回にわたるコロキウムにおいて、全員が発表に取り組んで頂きました。

数ヶ月以上の自主研究を通して、気づいたこと、感じたこと、見つけることが出来た

今後の課題などについて、自由に述べてください

これは、最近運営しました研修の所感テーマでした。

皆さんそれぞれが、自分の言葉で書き出していました。全員に共通している姿勢がありました。

それは、“謙虚”で“真摯”な態度でした。“誠実”な看脚下の足あとでした。「初心を忘れていない」レポート内容でした。

初心の正しい意味を知ってからは、間違って理解していた「思いたった時の前向きな気持ちを忘れない」という意味を初志と表現するようになりました。

 それから、薬学生を採用する仕事全体を“初志プロジェクト”と名付けて活動するようになったのでした。

(2011.3.6)

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