エッセイ5:第1回真剣耕座で感じた塾生の成長度は?

投稿日:2011年11月8日

 私が主宰します「学び塾」がスタートしてから、2年数ヶ月が経ちました。11月3日で7回目になりました。真のプロフェッショナルを目指した若手薬剤師の集まりで、『とにかく学びたい人たちが影響しあう機会塾』を略して、学び塾と命名しております。

 前回の学び塾(6月12日)では、真剣耕座として東日本大震災から学んだこと、気付いたことをもとに、地域医療の課題を追求しました。ぶっ続けの3時間の意見交換の中で感じました、塾生の明らかな成長度をつぶやいてみたいと思います。

先ず、塾の二日後に送信しました塾生宛てのメール内容の一部をご紹介しましょう。

皆さん、これから申しあげる私の見解について、どのように思われますか?

 それは、“(人数の多寡によっては異なるでしょうが)人前で自分の意見や考えを話す時や発表する時に、ドキドキしたり、あがってしまって何を話したのか分からなくなってしまったりする度合いが、以前よりはずっと少なくなってきていませんか!”という見解です。一人ひとり異なるでしょうが、私の眼には、概ねその様に映っております。真剣耕座で対話しながら、その様に感じておりました。そして、皆さん方に対するその成長実感が、私には心地良かったのでした。

 人間同士の安心&信頼のコミュニケーションが意識して実現出来るようになるためには、数多くの要件を充たしていかなければ不可能です。その要件の主要な一つが、”ドキドキしない”、”あがらない”ということです。自分自身が事前に予定していた話したいこと、聴きたいことが、ある程度満足できるレベルまで提供・収集出来るようになるための重要な要件なのです。

相手の立場に立って想像力が発揮出来るようになるためにも、落ち着いた客観的視点での判断が即決出来るようになるためにもドキドキ感防止、上がり防止は、仕事上、コミュニケーション上不可欠な修練項目なのです。

 そのための訓練方法として、新入社員研修から今でも、そして今後も、スピーチ、質疑応答、対話、討議、様々な形式の発表(コロキウム、真剣耕座も含む)、レポートや議事録の作成などを、意識して組み込んできましたし、組み込んでいます。それ以上に、日々の業務の中での投薬・服薬指導が、正に訓練としての位置づけにもなります。

 薬剤師としての社会人生活をスタートさせて数年は経ちます。私のような見解を意識したことは無いと思いますが、私の眼にはハッキリとそう映っております。少しずつでいいから、そのような成長に自信を持って頂きたくて、私の見解を申しあげた次第です。PDCAサイクルをスパイラルアップするためにも、謙虚な気持ちを忘れずに、その様な自覚をすることも重要なのです。

 私の場合は、眼の前にどれだけ多くの方が居ようとも、もうあがることはありません。しかし、そうなったのは40歳台後半からでした。そのきっかけは、専任教育担当に任命された38歳の時でした。それからの10年間は、数多くの武者修行や訓練、そして数知れないほどの挫折を味わいました。しかし、何とか克服出来ました。

その促進要因は、「自分の逃げ場を断ったこと」(自律要因)と「鍛えてくれた先輩の存在と否応無く与えられた実践の場」(強力な他律要因)の存在でした。どちらが欠けても、今の自分は無かったと断言出来ます。だから、他律要因に対する感謝の念は忘れません。

 そんな私に較べたら、皆さんの方が、ずっと優秀なのです。そして、大きな可能性があるのです。そう自覚して、日々、患者さん&生活者&仕事仲間との対話に、誠実に精一杯対処してください。だから、苦手な人との報連相も、買って出てもやってみましょう。 「やれば出来る」を、学び塾の合言葉にしましょう。

継続は力なり”と“積み重ねは力なり”を実感した真剣耕座でした。

 そして、この二つの“… 力なり”が表裏一体の関係にあることを、改めて気づかされたのでした。私の役目は、強力で強烈な他律要因であり続けることに尽きます。それが、真剣耕座から授かった私の誓いになります。

 今回のエッセイのお終いは、余談でしょうか?繰言なのでしょうか?

 教育機会には様々な形態やメンバー構成があります。ねらいが明確で、ねらい実現のための方途がぶれていない上に、目的・目標が達成出来る運営能力があれば、どのような教育機会でもメンバーのやる気と満足度を高めてくれるでしょう。

しかし、現実には、その様な理想的教育機会がどれだけ存在しているのでしょうか。理想的な教育機会を企画し運営できるプロの教育担当者が、どれだけ居るのでしょうか。いつも気になっている問題意識であり、大きな危機感なのです。

(2011.11.4)

   追:同じカリキュラムをなかた塾でも実施中です。

薬局長と中堅薬剤師は終了しました。今月は、若手薬剤師を対象に開催予定です。

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