この数ヵ月で気づかされたこと 第5回:人材育成の基本は応答の対話

投稿日:2020年6月8日

 新型コロナウイルスの影響は、世界中に拡大しております。地球規模での一大事の様相を呈しております。日本では、緊急事態宣言が解除されてから2週間近く経ちました。解除されたからといって、一段落した訳ではありません。感染防止を常に意識した行動を、これからも続けていかなければならないのです。このことを、一人ひとりが忘れてはいけないと強く感じております。

 新年度を迎えた4月になって、新型コロナウイルス禍におけるエッセイのあり方を見直しました。未知のウイルスの感染拡大による影響の大きさは、社会全体のあり様を一変させたからです。ジッと身構えて通り過ぎるのを待つ類の出来事ではありません。多くのイベントが中止、または延期になりました。さらに、東京オリンピック・パラリンピックも、一年延期となりました。来年になって開催可能な状況になっているのか、誰も保証などしてくれません。行き着いたのが、新型コロナウイルス禍という非常事態に的を絞って、特別エッセイとして呟くことでした。その時々の心境・思いから始まって、感じたことや気づかされたことを、自問自答しながら投げかけることにしたのです。結局、週2回の頻度で全17話になりました。2ヵ月を経て、これからのエッセイのあり方を考えるようになりました。結論として、特別エッセイを次回で一段落させて、それ以降は従来通りの人材育成を中心とした問題提起を続けたいと思います。このような時だからこそ、人材育成の意味合いが問われるのではないでしょうか新型コロナウイルスに関しては、その都度取りあげる所存です。

 この数ヵ月で気づかされたことの5回目は、人材育成のあり方で強く確信したことを取りあげてみたいと思います。新型コロナウイルス禍中での社員教育のあり方も、多くの制約の中で試行錯誤が続いております。手を付けられずにいる企業が多いのかもしれません。中田薬局では、当面のあり方につきまして「2020年度新卒薬剤師教育の考え方・進め方~新型コロナウイルス禍における」(https://nakata-pharmacy.com/workshop/3692/)にて紹介しております。研修を含めた多くの教育機会におけるコミュニケションのあり方は、今後どのような変遷をたどっていくのでしょうか。信頼関係という幹を、どのようなやり方で育んでいくのでしょうか。三密という課題をどうやって乗り越えていけばいいのだろうか。この数ヵ月、自問自答を繰り返しております。今回は、現時点でのアフターコロナの結論を申しあげたいと思います。

 働き方改革の中で、Eラーニング、オンライン教育などの手法が注目されています。当面の対策として導入することは良しとして、重要なことは、上質な白紙に将来像の図面を描くことです。先ずは、人材育成の基本理念(教育理念)や人財像を再定義することからスタートします。次は、新発想の手法と従来の手法、それぞれのメリット・デメリットをシッカリ洗い出します。その上で、知恵を出し合って図面を完成させるのです。表面だけの情報で判断して、その時々の時流に流されてはいけないと感じています。

 今、特に強調しておきたいことを申しあげましょう。人材育成の基本であり土台は、対面によるグルグル回りの応答の対話だということです。信頼と共感・共鳴なくして、人材育成の本質には到達しませんそのための手法の基盤が、Face to Faceによるグルグル回りの応答の対話なのです。この手法を、絶対に止めてはいけません。35年間にわたる、いくつかの職種の会社での試行錯誤を通しての結論です。詳細は、過去のエッセイを紐解いて頂きたいと存じます。今は難しくても、この状態が終息した暁には、応答の対話で対処したいと考えております。

       井上 和裕(2020年6月7日記)

 ・エッセイ203:グルグル回りの応答の対話とアイコンタクト(https://nakata-pharmacy.com/essay/3502/

 ・エッセイ177:私の教育担当者としての転換点の一つ(https://nakata-pharmacy.com/essay/1098/

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