この数ヵ月で気づかされたこと 第4回:“備えよ常に”と“基本の徹底”

投稿日:2020年6月4日

 自分の命は自分で守る。東日本大震災からの教訓です。そのためには、ボーイスカウトのモットーである“備えよ常に”、厚労省新型コロナウイルス感染症対策チーム専門家メンバーのモットー“最悪に備える”、或いは“準備万端整える”ことに尽きると思います。

 新型コロナウイルス禍を意識するようになって4ヶ月が経過しました。各種情報が日々アップデートされて、新型コロナウイルスの実態が明らかになりつつあります。しかし、未だほんの序の口の情報なのです。最近知ったことですが、自衛隊中央病院では、今までに220人以上の新型コロナウイルス感染者を受け入れたそうです。クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号でも対応に当たりました。対応に当たった隊員の感染者はゼロですし、院内感染もゼロだそうです。報道取材に対して“日頃から感染しないように訓練を重ねています。装備の仕方、手洗の方法、対処のあり方を、繰り返し訓練しています”と、静かに応じていらっしゃいました。それは、“普段できないことは、イザというような非常時・有事の際には、なおのことできない”ということを意味しているとつくづく感じます。自衛隊員にとっては、日々の訓練が最悪に備えることであり、備えの一つが基本動作を徹底することなのです。

 “備えよ常に”は、災害が起きるたびに指摘されています。“基本の徹底”も、事態が片付いた後の反省項目として、必ず指摘される項目です。何も目新しいことではありません。“備えよ常に”も“基本の徹底”も、千載不易の行動指針なのです。基本とは何か、どうすることが基本なのか ……。何を備えるのか、どうやって備えるのか、そのためのアクションプランは ……。前回のエッセイで問題提起したビジョン構築のテーマの一つとして、シッカリ取り組んでいかなければなりません。決して“喉元過ぎれば熱さを忘れる”にしてはいけないのです。そうなってはいけないのです。しかし、周囲を見渡せば、その実態はお寒いように感じることがあります。

 先月半ばでした。何年も前から、感染症対策の強化を訴えている政治家がいらっしゃることを知りました。参議院議員の田村智子さんです。2013年3月28日(木)の参議院厚生労働委員会で、国立感染症研究所の基礎的研究費と人員の削減撤回を求めたそうです。2年前の東日本大震災への対応で手いっぱいの状態と重なった時期です。また、1年前の2019年4月9日(火)参議院内閣委員会では、感染症対策が弱体化していることを主張されています。問題提起し続けていらっしゃる田村さんの存在に、頼もしさと安堵感を覚えました。“アクティブマイノリティーの精神を持ち続けなさい”と励まされた気がしました。一方、田村さんの問題提起が何故取りあげられなかったのか、必ずや総括されなければいけないと感じております。

     井上  和裕(2020年6月3日記)

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