エッセイ103:薬局の未来は、薬剤師一人ひとりがつくる

投稿日:2016年1月1日

 明けましておめでとうございます。中田薬局を、そしてつぶやきエッセイを、本年も宜しくお願い申しあげます。
 平成28年(2016年)幕開けのエッセイは、元旦の内に仕上げました。
 私がエッセイをつぶやき始めた平成17年(2005年)4月を思い起こせば、海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」の心境でしょうか。ささやかな“使命感&自己確信&好きであること”の3要素が、自分自身の背中を押してくれているのだと思います。
 年初の“書初め”ならぬ“呟き初め”は、この10年間を振り返ってみれば1月3日以降でした。初エッセイのテーマは、薬剤師の同志への激励メッセージです。

薬局の未来は、薬剤師一人ひとりがつくる

 平成28年1月1日(金)は、ジャスト午前5時に床を出ました。起きて直ぐには、私だけに課せられた任務が待っております。年一回、元旦の朝だけの欠かすことのできない行事です。
 それは若水汲みです。結婚してから、数えて42回目になります。
生活環境の変化とともに日常生活のありようは大きく変貌しました。これからも変わり続けるでしょう。その変化によって、古来の行事や慣習は形骸化したり、或いは消え失せてしまったものもあるでしょう。若水汲みもその一つでしょうか。
 私の若水汲みは、本来の伝統的やり方ではありません。台所の水道の蛇口をひねって、愛用のお茶碗8分目に水を注ぐのです。それが我が家の若水汲みなのです。
 50歳も半ばにさしかかったある時、若水汲みを詳しく知りたくなりました。情報ソースを探して出会ったのが「年中行事事典(田中宣一、宮田登・編者/三省堂:1999年8月1日初版発行)」でした。日本古来の伝統行事が、こと細かに紹介されているのです。目から鱗でした。興味を抱いたのが、それぞれの行事の背景や理由(根拠)でした。特に惹かれたことは、そのやり方一つひとつに、それぞれ意味があることです。また、地方によっては相変わらず引き継がれている行事もあって、そのことはかなりの驚きの一つでした。
 理解が進むにつれて感心させられたのは、これらの行事の根底に流れている考えです。理念、思想と言ってもいいでしょう。共生、互助、感謝、尊敬など、日常生活や日々の仕事場において、対人関係を円滑にしたり、相互信頼を意識して作ろうとする思想が流れていることです。
 便利さになれた私たちは、不便さを知恵で克服してきた中で培われた大切な思い遣り、気遣いを忘れてしまったようです。どこかに捨ててしまって、その捨てた場所すら記憶から消し去ろうとしているように思います。一方、それら(共生、互助、感謝、尊敬など)が息づいている場も存在しています。その自然体に触れるたびに、日々のあり方が恥かしくなってくるのです。
そんな事を思い起こしながら、新たな年に向かって元旦(1月1日の朝)に叫びたいと思います。
 薬局の未来は、薬剤師自身がつくるのです。一人ひとりがつくりあげるのです。法で守られた特権に胡坐をかくのではなく、法で示されている理念とビジョン実現に汗をかくのみです。
 もう待ったなしですね。実現のための処方内容は、意識と行動の変革しかありません

                                                  (2016.1.1記)

最新の記事
アーカイブ

ページトップボタン