テーマ「これからの認知症診療の実践」
演者 東北大学加齢医学研究所 老年医学分野 准教授 古川 勝敏 先生
座長 はまと神経内科クリニック 濱登 文寿 先生
本日の講演会はテーマが認知症というだけあって、医師だけでなく看護師やケアマネージャー、
保健師の先生方など、多職種の方々が参加されてました。これから訪問指導や在宅医療の時代
がもう来ていることを感じさせました。
古川先生は認知症について、広く、そしてわかりやすく説明してくださりました。
特に印象に残った事は、認知症については検査が先行していて治療がまだまだという事でした。
MRIやCTの他に、脳血流の流れを診断できるSPECTという技術で、軽度認知症の方でも将来
アルツハイマーを発症するかを予想できるかもしれないという、超早期診断が可能になるという事。
その一方で、コリンエステラーゼ阻害薬の服用をどの段階から始めるか、効果が無いと判断する
基準があるのか、いつ中止すべきか、という出席された医師のご質問には「今の段階では患者さ
んやご家族のオンデマンドです。」と回答されていました。なってしまった認知症の治療というのは
やはり難しいのだな、と感じました。
また、古川先生が強調されていたのは、脳卒中の一番の予防のポイントは、抗血小板薬や脳循環
改善薬などが数ある中、禁煙や節酒、適切な血圧やコレステロール値を維持する事が一番大事と
話されていたことです(グレードA推奨)。
認知症の予防に関しても、一番大切なのは腹八分目などの基本的な生活習慣を守る事と強調され
ていて、薬だけでなく、患者さんのトータルの生活習慣のマネージメントがポイントだと何度も話され
ていました。
認知症という分野はそういう意味でも、主治医だけでなく薬剤師、看護師、ヘルパーなど、様々な
医療職の方が力を合わせてやっていかなければいけない分野だと痛感しました。多職種の中で、
では薬剤師として自分には何ができるのだろう、何ができるようになっていかなければならないの
だろうと考えるヒントを数多くくれた、実りある講演会だったと思います。
平成25年2月14日
長谷川伸