2020年度新卒薬剤師教育の考え方・進め方~新型コロナウイルス禍における~

投稿日:2020年5月11日 研修会

 今年は、新卒薬剤師2名が入社いたしました。新型コロナウイルスの影響で、例年のやり方を見直しております。この機会に、考え方・進め方を一から再構築したいと思います。試行錯誤の段階ですが、その一端を紹介させて頂きます。以下、2名へのメッセージと当面の進め方の概要になります。

1:考え方・進め方の基本

 現在は、実務に関する研修を、社長・薬局長を中心に進めていると思います。当面は、目の前の仕事と向き合って、一つひとつ誠実に対処してください。研修の有る無しに関わらず、その姿勢が最優先の基本になります。現時点では、目の前の仕事をやり終えるまで時間を要することが多いと思いますが、正確にやり終えることに専心してください。失敗もあるでしょうが、その場合は、失敗を認めて、その原因を分析してください。先輩のアドバイスにも耳を傾けてください。コミュニケーションの難しさを感じることも多いでしょう。その場合も、一人で抱え込まずに、身近な先輩や薬局長を頼りにして対処してください。

 ここからは、例年実施しております新入社員導入研修・フォロー研修について、私の考え方を申しあげたいと思います。私の担当するカリキュラムは、時間を短縮してダイジェスト形式で終了するという内容ではありません。また、最近注目されていますテレビ電話形式で実施できる内容でもありません。ここからは、私の教育理念になりますが、元来、人材育成の本質は、一人ひとりの潜在意識と潜在能力を引き出すことです。引き出すための効果的手法は、応答の対話になります。ですから、中途半端な一方通行の研修では、どうしても本質からずれてしまいます。極論すれば、実施することが目的の研修になってしまうのです。いずれにしても、キチンと相対した応答の対話による研修を実施したいと考えておりますし、それが出来ないような事態になれば、時間の無駄になりますから、やらない方が良いとまで考えております。そのような理由から、例年実施しております研修カリキュラムのスケジュールについては、応答の対話ができる環境が整ってからにしたいと考えております。

 もう一つ申し添えておきますが、私が主宰します“いのうえ塾”のカリキュラムは、年齢や仕事の経験度合いに関係なく、その年齢に応じてカスタマイズすることが可能なカリキュラムですし、年齢に関係なく学んでおくべき必須カリキュラムなのです。いのうえ塾の本質的な目的は、生き方を考えることだからです。その主旨の一部は、添付資料(WELCOM、いのうえ塾へ)をご覧ください。

 一方、このような状況下で何が出来るのか、この二か月間あれこれ考えておりました。何故ならば、仕事のあり方はもちろんのこと、社員教育や人材育成のあり方、自分自身の生き方を、抜本的に見直す機会になるからです。薬剤師の職能のあり方についても同じですね。ゼロベースから見直すべき時なのです。それも、行き当たりばったりの方途ではなく、30年先を見据えたやり方を模索しておりました。そのような思いを抱いての試行錯誤の最中ではありますが、当面の間、以下のようなやり方で進めることにしました。いずれにしても、ポジティブ思考、プラス思考で乗り越えていきたいと考えております。

2:入社一年間の行動指針

(1)成長の原点は基本です。基本を身に付けることが最優先の課題であり目標です。そのためには、目の前の仕事一つひとつを誠実に遂行することです。掃除であれ、挨拶であれ、調剤・服薬支援であれ、気配りやマナーであれ、全ての仕事と向き合うことです。時間がかかってもキチンと最後までやり通すことです。失敗もするでしょうが、責任を持ってやり直しましょう。

(2)仕事経験を積み重ねながら、これからの公私にわたる生き方を掘り下げて考える一年間にしてください。新型コロナウイルスという難題を教訓として、将来の人生の土台を築く一年間、人生の幹を形成する一年間にしてください。そのための問いを提示しましょう。一年間かけて結論を出してください。

   Q1:一人の人間として、地域社会から求められることは何なのか?

   Q2:保険薬剤師に対して、地域生活者は何を求めているのだろうか?

   Q3:また、地域生活者に対して何ができるのだろうか?何をやるべきだろうか?

3:当面の進め方と課題

 当面、毎月又は隔月に課題を提示。課題に対する考えや結論をレポートとして提出する。

   *5月の課題 :2分間スピーチ原稿の作成(全7テーマ)

(1)スピーチテーマ:共通テーマ3(①②③)、自由テーマ4

   ①自己紹介  ②中田薬局を就職先に選んだ理由(何故、中田薬局を選んだのか)  ③私の目指す薬剤師像

  残りの4つのテーマは、各自で考える自由テーマ。

(2)基本ルール

   ①原稿の作成。文字数は600文字±10文字を厳守。  *原稿用紙は300字詰めです。コピーして活用してください。

   ②丁寧な字で、筆圧は強めに。

   ③以下の文言を、必ず入れてください。これも含めて文字数は600文字±10文字。

   「私は、〇〇店の□□と申します。本日は、○○(例:私の目指す薬剤師像)についてスピーチしたいと思います。(or スピーチさせて頂きます)」

    ※基本ルール①②③には理由があります。それを考えることも重要だと思います。

(3)提出期限:6月5日(金)

4:もう一つの日常の課題(省略)

      人財開発部長 井上 和裕(EDUCOいわて・学び塾・種まき塾 主宰)

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