テーマ「パーキンソン病の病態と治療について」
演者 岩手医科大学 内科学・神経内科・老年科分野 講師 大塚千久美 先生
座長 はまと神経内科クリニック 濱登 文寿 先生
本日の講演会では、パーキンソン病の最近の病態と治療について幅広くお話ししていただきました。
まず、パーキンソン病とは全身の病気であるという事です。ホルモンバランスが崩れることで抑うつ
や不眠などの精神状態だけではなく、便秘やパーキンソニズムなど身体症状まで異常をきたすとい
う事でした。
しかし診断の基準として、便秘や抑うつでは他の病気でも出る事があるので特異性が低い、ではどう
すればよいか、という質問が出ました。大塚先生は最近では嗅覚障害と視覚障害が特異性が高いと
おっしゃってました。抑うつや便秘と合併してこのような障害が出たらパーキンソンを疑い、試しにレボド
パ製剤を投与してもよいとの事でした。
また、大塚先生は最近の抗パ剤としてミラペックスLA錠やレキップCR錠が徐放性があるため血中濃度
が安定して使いやすいと推奨する一方で、薬の効果をあげるための工夫について「良い睡眠」を挙げて
おりました。「良い睡眠」を取ることでドパミンがよく出るようになり、薬効を上げることにつながるらしいで
す。
レボドパ製剤は胃の状態が酸性であるほどよく効くと聞いたことはありましたが、例えば食事にレモンを
摂ったり、H2ブロッカー等を服用している患者さんには一度中止してみては?と考えましたが、大塚先
生の話では、薬効が出るのは早いが、切れるのも早いためお勧めはしない、効かせ方を変えるために食後
から食前の投与にしてみたりする事はある、とおっしゃってました。
パーキンソン病の患者は普段薬局ではあまり見かけないので。抗パ剤のある処方せんもあまり深く読む事
は無かったですが、病態の進行の程度に応じて細かく使い分けていることも知りました。今回の講演をきっ
かけに、処方せんから「今この患者はどういう状態で何故この薬が出ているのか」を考えながら調剤業務を
していきたいと思いました。
平成25年7月19日
長谷川伸