エッセイ73:バラバラな経験や知識・技能を結びつける引力は何か?

投稿日:2014年10月4日

 私の友人であるTrilliumさんのエッセイを、先ずご紹介させて頂きます。「一千万円の買物」というタイトルです。

  【一千万円の買物】
    昭和45年に薬剤師になってから今日まで、約一千万円の書籍を購入しました。
    それは薬剤師として、不足の部分を埋めるための教材でした。

    薬のことだけではなく、生理、病態、解剖、診断、医学用語、検査、検査値、看護と系統も脈絡もなく、
                                                    ほとんど手当たり次第だったと思います。

    約40年の月日が流れ、私の中で氷山がひとつでき上がりました。
    日常は10%の海面上の力で処方せんに向い、患者様に接しております。
    海面下の90%は、私を支える自信です。
    学ぶこと、知ること、そして知っているという余裕が、私に仕事の楽しさをもたらしてくれました。

    結果だけではなく、そこに至るプロセスから得るものも大切です。
    ばらばらの知識が、あるとき突然にネットワークが出来上がり、生きた知識となるとき、水が氷に変わる瞬間を体感します。

    地球温暖化が危惧されるこの頃、私の氷山も溶けて小さくならないよう願っています。

 このショートエッセイは、自己啓発のあり方、能力開発の本質や意義を掘り下げて考える着眼点になりますね。世代に関係なく、着眼点として気づいて頂く教訓として、かなりの頻度で紹介しております。振り返って、私自身も同じような感覚を体感しました。
 今回のエッセイは、乱雑に散らばっていた知識がつながって、新たな結晶が形づくられる誘引剤、接着剤は何なのか、思いつくままつぶやいてみましょう。

バラバラな経験や知識・技能を結びつける引力は何か?

 私の学生時代の目的や姿勢を思い起こしております。朧げな記憶を遡りながら、視野が非常に狭かったことだけはハッキリと感じとれます。
 学校が決めたカリキュラムと指導要領に沿って、受け身で学ぶことが目的の中心であったと実感しております。ですから、それぞれの教科や単元がネットワークとして機能し合っていることを実感する経験は、皆無だったと思います。そのような問題意識を持った記憶すらありません。
 Trilliumさんと似たような体感を経験したのは、社会人になってからです。それも、30歳代半ばを過ぎてからだと思います。役職を拝命して、業務課題の達成難易度が高くなりました。達成を確信できる計画案策定には、様々な分野の関連知識を組み合わせて対処する必要性を自覚するようになってからだったと思います。試行錯誤しながら、ある時、計画案の骨子が出来上がった時のことを、懐かしく思い出しております。年齢を重ねるほどに、その経験は増えていきました。
 もう少し具体的に申しあげましょう。
 私の場合、社員教育の仕事に携わってから、そのような感覚を認識する機会が増えました。人事の仕事が加わってからは、さらに感じるようになりました。
 Trilliumさんの表現をお借りすれば、系統も脈絡もなく手当り次第に学んだこと、仕事遂行上の必要性に迫られて学んだこと、指示された体験を通して積み重ねてきたことなどが、あたかも突然のように、あちこちのピースがつながってジグソーパズルが完成するのです。1ヵ月かけて悩み続けた末に、ちょっとしたきっかけで実際的な方法に出会ったこともあります。労作を提案して認められ、それが役に立っていると実感した時の達成感は、今でもセルフモチベーションを支える原動力になっています。
 突然のごとくネットワークが出来上がる要因として考えられることは、それまでに様々な実体験を通して積み上げてきたノウハウ、学んだ知識、身につけた行動指針や組織運営のあり方、培った人間関係など、多岐に亘っていることに違いはありません。そのことが大前提ではありますが、それらの要因群の中から、効果につながるものを取捨選択して引っ張り出し、それらを結びつけてくれる引力は一体何なのか、その力はどこから来るのか、それが今回のエッセイのテーマになります。

 先ず、使命感が必須要件であることは疑いの余地がありません。しかし、今回は、年を重ねるほどにつくづく感じていることに焦点を当ててみたいのです。
 改めて強調したいことは、様々な体験を積むことです。自発的に学ぶ続けることです。学生時代は当然ですが、未熟だと自覚している間は、特にそうすることではないでしょうか。
「やるの?やらないの?どっちなの?」。
 答えは一つです。実行しなければ進みません。新たな道は前には存在しまません。後ろに出来るのです」。10数年前に転職してからの、私の代表的な口癖です。
 やらない言い訳が耳障りに感じる時には、語気を強めて問い質すことがあります。自信が持てなくて、躊躇している方の背中を押したい時にも発することがあります。
 様々な体験を積み重ねたり、学び続けるためには、克己心実行力が誘引剤であり接着剤になります。強調して申しあげたい引力です。
 自分自身のちょっとした甘えに打ち克って実行する、ということです。私たちの行く手を遮っているものには、多くの他律要因も出てくるでしょう。しかし、他律要因は風任せですから、解決には至りません。最初から向き合わなければならないのは、やはり自律要因です。
 使命感、克己心、実行力は、小学生時代から何度耳にしたことでしょうか。この不易の行動指針が、もっともっとクローズアップされなければ、知識が知恵に転じることは難しいと感じております。言い古された三つですが、温故知新はあちこちに存在しているのです。
                                                                                                                                           (2014.7.24記)

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