エッセイ39:「備えよ常に」と「準備万端整える」

投稿日:2013年5月1日

 テレビ番組で見る頻度の高い一つが天気予報です。予報確率の高さだけではなく、情報内容や表現方法も日進月歩の感があります。何しろリアルタイム情報が入手出来るのですから。
 しかし、気になってしかたのないことがあります。
 その一つは、何ともおせっかいな親切風アドバイスが多いことです。襟巻きを、今日は携帯用ではなく大きめの傘を、上着を一枚羽織って、厚手のコートを、 …… etc。これは天気予報に限ったことではありませんが、天下の全国ネット放送各社は「人間は考える葦である」否定症候群ではないかと。サービス過剰認識不足症候群ではないかとも、考えてしまいます。
 客観的論拠に基づいた予報でしょうから、これからも1日のスタート情報として、有難く頂戴したいと思いますが、度を越したお節介的親切は、人間の考える力を失わせます。台風や雷・竜巻、強力な寒気団の襲来などの場合は別ですが、自己判断を促す姿勢も必要ではないでしょうか。
 もう一つ、そのお節介情報は、押しなべて東京近隣のことなのです。岩手の人間にとりましては、通用しない情報なのです。首都圏限定なら別でしょうが、このようなことにも、かなりの地域間格差の存在が見えてきます。南北に長い日本列島なのです。北海度と沖縄の温度差は、20℃以上もあるのです。雪に弱い首都圏の交通事情を見て、雪国の人間は白けてしまいます。そう感じているのは、私だけでしょうか? ……
 
 以上は、2011年2月8日につぶやいたエッセイの一部でした。

 今年(2013年)の1月中旬の大雪は、またまた首都圏に大きな影響を与えました。想定以上の爆弾低気圧によるものでした。それにしても、今回も考えさせられることがありました。
 ノーマルタイヤの自動車の車輪が空回りしたり、下り坂でのスローモーションのような横滑りなど、気の毒とは思いながら失笑してしまいました。あの状況でのノーマルタイヤでの走行は、雪国では考えられないことなのです。車は死の凶器へと変身してしまいます。
 歩行者にも、あの雪道は厄介者です。寒さのために1週間ほど道路が凍っていましたから、そのような道路に慣れていませんから、転ばぬ先の杖ならぬ、“恐る恐る”の歩き方になってしまいます。でも… 、その及び腰のようなへっぴり腰がスッテンコロリンにつながってしまうのです。いくつかのテレビ番組では、歩き方、服装・装身具、気の配り方や処し方など、事故防止のためのノウハウ情報を盛んに提供しておりました。チャンネルを変えても、同じような親切アドバイスが画面を賑わしておりました。
 雪国の住人にしてみれば、そのような状況は日常茶飯事であり、何とも大袈裟に感じなくもありません。しかし、それは環境の違いから来る慣れと備えの問題なのです。「何ともお気の毒」と感じながら、雪に慣れていない皆様を思いやる気持ちを第一に、何とか乗り切って頂きたいと祈ったのでした。

 このような状況を目の当たりにして、結局のところ、「備えよ常に」が、身近に出来る有効な対処法と思えてきます。もう一つ、「準備万端整える」ことが、次善の策と実感させられます。
 今回つぶやきますテーマは、「備えよ常に」、「準備万端整える」にします。

「備えよ常に」と「準備万端整える」

「備えよ常に」も「準備万端整える」も、何も日常生活だけに限ったことではなく、仕事においても相通じる躾化したい対処法だと思います。

 日本ボーイスカウト愛知連盟のホームページによれば、「備えよ常に」は、世界各国のボーイスカウトの共通のモットーだそうです。イザという時に備えて、どのようなことに出会っても、必ずやり通せるように、日頃からいろいろと準備しておく、という意味だそうです。言い方を変えれば、どんなことにも直ぐに応じられる心構え、身構えを持って、“いつでも準備が出来ているぞ”という態勢の証明でもあるそうです。
 仕事上でいえば、やりがいのある仕事を任された時、それをやり遂げられる能力開発を、日頃からコツコツやっておこう。自己啓発による積み重ねを怠らず、日々、心技体を磨き上げておこう、ということになります。
「準備万端整える」とは、事前準備を万端整えるということです。「万端」の「万」は、数の多いことを言いますが、「端」は単なる“端っこ”ではなく、“時局多端”とも言うように“キチンとやらなければならないこと”を指します。その心は、数の多さではなく、やるべきこと、やらなければならないことを、百パーセント準備して事に臨むことが“勝利の唯一の方程式”だ、と言うことになります。

「備えよ常に」と「準備万端整える」は、今でも私の当り前の行動指針です。
「備えよ常に」は将来を見据えた時の行動指針として、「準備万端整える」は目の前の仕事や目標に向かう時の行動指針として、それぞれの位置づけを意識して区別しながら日々対処しております。

 それにしても高齢者の多い豪雪地帯の雪の深さは、自然現象ですからどうにも手の施しようもないのかもしれません。でも、その状況をテレビ報道などから見聞きして、“首都圏の大雪なんて「備えよ常に」、「準備万端整える」で十分対応出来るのに!”と思えてしまうのですが…… 。

                                                     (2013.3.3記)

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