エッセイ27:黙して人を想う

投稿日:2012年10月20日

 今までのエッセイでは、私の主宰する学び塾の活動内容の一部を、二回ほど取りあげてみました。今回は、学び塾の現状と、私の心情を吐露させて頂きます。

 平成21年8月にスタートした私の主宰しております学び塾も、節目の4年目を迎えました。18名でスタートし、最大23名が在籍した塾生も、現在では約半分の10名で運営しております。
 結婚や出産で休職した方、転勤によって通うことが不可能になった方、自立路線を選択した方、教育観の変化から退塾された方など、その理由や事情は一人ひとり異なります。
 学び塾のベースキャンプは、福島市と郡山市になります。昨年の福島第一原発事故の影響で、複雑な心境と感情で避難した方もいらっしゃいます。その原発事故が、一番の理由として横たわっているように感じております。どうにもならないことは百も承知しておりますが、学び塾のような自主的な自己啓発チームの運営にも、原発事故が大きな影響を及ぼしているのです。

 そのような中での私の最大の関心事は、退塾した皆さんの動向であり、心情なのです。
 何を想い、どこで、どうしているのだろうか?

黙して人を想う

 あれから、何の音沙汰もありません。
 あの人は、今どうしているのだろうか?
 どこで、何をしているのだろうか?
 苦しみや悩み、さらに負い目を背負って、今の道を選んだのでしょう。
 決して、納得して選んだ道ではないのかもしれませんね。
 だから、私から音信を確かめることは、その人に負担を強いることにもなるので控えています。

  今の私に出来ることは、黙して想うことです。
  氷点下10度の厳寒の夜空に向かって、
  春の花の微かな香りに包まれながら、
  時々、だまって、その人を想うことにしております。
  想うほどに、やはり、気になるのです。
  気になって気になって、心配する気持ちでいっぱいになる時もあります。

   あの人は、今どうしているのだろうか?
   もう立ち直ってくれたのだろうか?
   立ち直って、新たな志に向かって歩を進めているのだろうか?
   立ち止まっていいから、半歩でも前に進むことができるようになったのだろうか?
   私に出来ることは、黙して想うことだけでしょうか。
   今は、黙して想うことしかできそうにありません。

(2012.10.8記)

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