*このエッセイは、平成24年5月16日に書きあげたものです。
4月21日(土)、久方ぶりに自宅で朝を迎えました。釜石、久慈での新入社員研修、私事での上京など、三週間の内の15日間はホテル暮らしでした。
その日は、五時半に目が覚めました。起こしてくれたのは、二羽の鶯の掛け声でした。あの“ホーホケキョ”のロンドが、繰り返しこだましてくるのです。自宅の前庭からでした。何とも穏やかな空気が、辺りを支配してくれました。
そのロンドは、数日間続きました。
4月から5月にかけて、私の周辺で起きた嬉しい出来事の紹介が、今回のつぶやきです。
最近の喜嬉とした出来事
一つ目は、前途有為の若人からのお礼状です。差出人は、今年の“なかた塾”新入社員導入研修の受講者でした。
新入社員導入研修の総まとめでは、「入社一年間で身につけたい“22の行動習慣”」を年間目標として提案しております。その三番目に、『心をこめた自筆のお礼状を出す習慣』があります。
毎朝のホームルームの時間では、「ハガキの二大効用」というコラムを紹介して、『心をこめた自筆のお礼状を出す習慣』の意図することを考えて頂く機会も組み込みました。
4月24日(火)の午後のことでした。可愛らしいピンク色の封筒が、自宅玄関脇の郵便受けから顔を覗かせておりました。直ぐに開封しました。研修のお礼と、これからの抱負でした。
さらに嬉しかったのが、封筒の表裏の表記と、手紙の文言の書き方でした。
いのうえ熟主宰の新卒者向け新入社員研修には、「ビジネス文書の書き方」という120分のカリキュラムがあります。ビジネス文書の基本を学ぶことはもちろんのこと、“この教材を師匠として(つまり基本知識の在処と位置づけて)、基本が身に付くまではこの手本通りに書きなさい”と方向づけております。
このお礼状、そのことを一から十まで、忠実に実行したものでした。それも、これ以上ないほど丁寧で心のこもった字体でした。その事が、何よりも嬉しかったのです。
もう一つは、薬局運営とその担い手である薬剤師の現状実態、そして今後のあり方について、問題意識旺盛で試行錯誤をしながら、何とか打破したいという意欲ある皆さんとの意見交換会が持てた事です。さらに、お互いの志や理念、ビジョンを共有化し、共同研究や相互研鑽を通して、理想を追求しようという機運が出来つつあることです。
3月以来、数回の個別の話し合いを経て、6月には同志6名全員が集いました。問題意識が共有でき、現状を打破したいという気概と具体的考えが共鳴に発展しつつあります。業界に一石を投じ、その波紋を拡げる活動を志向しながら、何らかの方向性を形にしていくことが、当面の課題になりそうです。
「不可能の反対語は可能ではない。挑戦だ」という、黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンの名言と、私の口癖の「成果のスタートは、実行することだ」を御旗にして、ガイド&メンター&コーディネーター役に徹しようと決めております。
教育の原点は、可能性を引き出すことです。お互いが、そのような役回りでチームワークが機能すれば、どんな嵐が来襲してもビクともしない根が、それぞれの地域に張り付くことでしょう。
新たな希望の灯が点りました。
(2012.5.16)