エッセイ300:この研修は、あなた方自身の考えを、あなた方自身の手で創り上げる機会です

投稿日:2024年3月21日

 昨年10月半ばに、いわゆる断捨離を思い立ちました。対象としたのが、約38年間で積みあがった人材育成の資料と教材、そして採用を中心とした人事関連の資料です。そのボリュームは、横幅10㎝のファイルボックス80個分になります。そもそも断捨離とは、不要な物を断ち切り、物への執着心をなくすことで、身軽で快適な生活や人生を手に入れようとする考え方です。チョッピリ張り切ってスタートしたのですが、どの資料も教材も、その一つ一つに、その一枚一枚に、そして一行一行に、そこに至るまでの試行錯誤の思い出が浮かびあがってきて、易々と断ち切ることに躊躇してしまいました。そんな心情ですから、断捨離の真意には到底及びそうもありません。年が明けても、取捨選択して整理することに難儀している状態です。そうであれば、愛情込めて積み重ねた作品については、心の安定剤として慈しみながら整理したいと考えております。

 300回の節目のエッセイは、それらの中から、あるA-4版の1ページを2回に分けて紹介したいと思います。研修コースに関係なく、多くの研修ノートの表紙を開いた最初のページに掲載している内容です。

この研修は、あなた方自身の考えを、あなた方自身の手で創り上げる機会です

 紹介したいページの内容は、いのうえ塾の重要な行動指針と位置づけている二つの文言を掲載しております。今回のエッセイでは、この研修は、あなた方(受講者)自身の考えを、あなた方(受講者)自身の手で創り上げる機会(チャンス)ですという件(くだり)について、その経緯を呟いてみたいと思います。

 TK社の専任教育担当に従事(1986年)して数年間は、目の前の業務や課題をこなすだけで精一杯の毎日でした。周りのことが少しは見えるようになった頃のある日、研修会のあり方について“これで良いのだろうか?”という問題意識が沸き上がってきたのです。当時の研修会の多くは、受け身の姿勢で“講義をきく”いうスタイルが主でした。それで目的が達成できる場合もありますが、一番の危惧は、元来持っている社員一人ひとりの参画意識や自主性が埋もれたしまうのではないかということです。それは、日々の仕事姿勢にも表れているように感じていたからです。

 経験を重ねるにつれて、研修会をはじめとした人材育成の基本は、楽しんで自己啓発し相互啓発することではないだろうかと思い始めたのです。一人ひとりの潜在意識と潜在能力を引き出し、自己啓発・相互啓発出来るようにすることが、人材育成の本流にしなければならないと考えるようになりました。そこで、講義だけではなく、問いかけによるグルグル回りの応答の対話、グループ討議、グループワーク、ロールプレイング、自由研究など、その当時考えられる手法を組み込んだカリキュラムを企画することに着手したのです。その上で、社員の意識改革に取り組みました。かなり難しいテーマではありましたが、地道に粘り強く問いかけ続けることを決心したのです。その時に思いついたが、「この研修は、あなた方自身の考えを、あなた方自身の手で創り上げる機会です」という文言でした。研修のオリエンテーションや振り返りタイムでは、その文言を語りかけるとともに、何故そうなのかということを、繰り返し繰り返し問いかけ続けたのです。企業内教育の目的は、社員一人ひとりが自力で課題解決できる力を身につけることであることを強く語りかけました。さらに、自力で心を耕し、人格を磨き上げることを求めたのでした。

 実は、これらのことを気づかせてくれたのは、私より二回り近くも年下の新卒新入社員だったのです。1988年からの3年間に入社した40数名の新卒新入社員でした。さらに、我以外皆我師也の姿勢で日々対処することの重要性も気づかせてくれました。それらのことがきっかけとなって、教育理念の策定への道が拓けたのです。その詳細は、エッセイ119回・120回・122回・124回・125回で取りあげております。

   EDUCOいわて・学び塾主宰/薬剤師 井上 和裕(2024.2.2記)

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