エッセイ266:言い残した全力投球のアレコレ

投稿日:2022年11月4日

 最近のエッセイでは、全力投球の意義とご褒美を呟いてみました。取りあげたきっかけは、仕事に対して熱意が感じられない方々の存在です。その比率が年々上がっているという実感に問題意識が膨れ上がっています。そんな中で、人生を積み重ねてきた30才代以上の方々には、これからも続く長い仕事人生をもっと意義あるものにするために、現在の人生観、仕事観を見詰めて再構築して頂きたいのです。曖昧だったなら、向き合って明らかにして頂きたいのです。その上で、人生の後輩に対して、この閉塞した時だからこそ、示範という手段で光り輝いている姿を見せびらかして欲しいと、強く強く願っております。今回のエッセイは、言い残した全力投球の肝心なアレコレに触れておきたいと思います。

言い残した全力投球のアレコレ

 人事を尽くして天命を待つ。

 ずっ~と言い続けている新社会人へのいくつかある激励句の一つです。人事に関しては、“尽くす人事の前提が全力投球・一生懸命と意義づけをしております。全力投球なしに、人事を尽くしたとは言えないということです。このことを押さえた上で、呟きを続けましょう。

 先ず、全力投球すれば“全て成果に結びつく訳ではない”ということを、お断りしておきたいと思います。全力で取り組んでも、思うような結果に至らないことや失敗の方が、何度もあったからです。能力が未熟なうちは、むしろ強い思いが空回りしたことがありました。思いだけで解決する程度の問題は、誰にでも解決出来ますから、問題という範疇には入りません。大切なことは、成功につながるもう一つの重要ポイントの存在です。それは、PDCAサイクルのPLANです。目的・目標が明確で、達成に至る道筋(過程)が具体的に計画化されていることが必須要件になります。それでも失敗するかもしれません。しかし、具体化計画の存在によって失敗要因を容易に見つけることが可能ですから、再チャレンジによる成功確率は高くなるということです。

 現実に目を向けますと、知恵を絞って計画化し、準備万端整えて全力投球しても、思うように事が運ばないことの方が多いのではないでしょうか。努力はなかなか報われないものです。しかし、人生は敗者復活戦という側面もありますから、報われなかった努力という評価は、狭い視野による見解だと思います。長い目で見れば、全力投球したから分かること、全力投球で失敗したからこそ分かることが、数多く存在します。10年後に気づく報われ感だってありました。“失敗しないためにどうすれば良いのか!”、“成功に導く方途はこれだ!”というように、問題解決能力や対人関係能力が磨き上げられているのです。それらは、全力投球したからこそのご褒美だと確信できます。

 私が20才代の時、(自分自身の認識では)全力投球しても報われなかったことで自己嫌悪に陥ったことがありました。何年もの間、殻に閉じこもって尾を引いたと記憶しております。かなりの年月を経て、独りよがりであった自分の姿を素直に認めて、その体験を正直に打ち明けられるようになりました。そして、相手の立場に立つということの意味を考え始めて、相手:自分=51>49に至るきっかけの一つになったと思います。それからは、周りの方々の小さな異変が気づくようになり、気づいたことに関しては、相手の状況に応じてコミュニケートすることが増えました。さらに、“チームリーダーは気づかせ屋たれ”と意識し始めたような気がします。

 全力投球のあり様は、年令によって、性格によって異なって当然でしょう。心技体の実態によって十人十色で良いと思います。年を重ねると多種多様の全力投球があることに気づくようになるのです。一方、20才代の若手ビジネスパーソンには、ガムシャラと評価される程の全力投球で、先輩ビジネスパーソンに刺激を与えることを常に期待しております

 最後に、75才の私の全力投球の仕様例で締めたいと思います。早期着手、準備万端、徹底追究の三つです。言葉の意味や文言の表現も、辞書を引きながら納得いくまで吟味しております。今の体力で可能なことに全力投球する気持ちを、まだまだ消滅させる訳にはいきません。

   人財開発部/EDUCOいわて・学び塾 主宰 井上  和裕(2022.8.31記)

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