エッセイ265:全力投球のご褒美

投稿日:2022年10月25日

 もう何年もの間、一生懸命や全力投球という泥臭い行動姿勢が、廃れてしまったように感じています。挑戦意欲の減退、行動しても長続きしない、チョットした壁にぶつかると諦めてしまう、…… 。そんな傾向を残念に感じることが増えました。能力が未熟な若手ビジネスパーソンの眩しさは、何といっても失敗を恐れない元気溢れる行動力でしょう。そんな積極的な姿を期待して、エッセイ263回で全力投球の意義を取りあげました。その後、さらに考え続けて辿り着いたのが、全力投球することで得られたもの、気付かされたものの存在です。それらを、全力投球のご褒美として呟いてみたいと思います。皆さんも、やる気を高める自身の全力投球ご褒美を明らかにしてみませんか。

全力投球のご褒美

 いま実感している全力投球のご褒美は、出会ってから途絶えることなく今でも繋がっている方々の存在です。各人が“お互いの人格を尊重して、共に学び合える同志”として認めているから実現していると思います。より高いモチベーションが持ち続けられる要因でもあります。その方々との最初の出会いは、採用の仕事を通してのケースが多かったでしょうか。私は何度か転職していますから、出会った時の企業は数社ほどになります。入社してからは、新入社員導入研修やその後数年間の研修・定期面談での関わりを通して、全力を尽くす私の姿勢に応えてくれました。学び塾やエッセイなどを通して、現在もその糸が途切れることはありません。

 全力投球は、心身ともに疲れます。何度か“もう止めようか?”になったこともありました。そんな心境を払拭してくれたのが、研修終了後に頂いた何人かの同僚からの“井上さん、今日も全力投球でしたね”という感心の一言でした。進め方や話す内容も含めた話術・教材に関する質問、“教えてください”という眼差しも、かなりシンドイ全力投球を続ける動機づけになりました。

 いのうえ塾の研修企画の基本は、教育ニーズに即して誂えることです。研修効果を上げるための基本のキだからです。誂える腕前が身についたのは、目の前の課題に全力投球し続けたことへのご褒美だと確信しています。私は5年間かけて、当時の教育機会(研修)全てを一人で運営することに挑戦しました。「新入社員導入研修(20日間)」、「新入社員フォロー研修(3日間)」、「セールススクール(以下SS)基礎コースⅠ(5日間)&Ⅱ(3日間)」、「SS実践コースⅠ&Ⅱ(各5日間)」、「新任マネジャー研修(3日間)」、「マネジャー部下育成実践コース(3日間)」などです。カリキュラムで言えば、マーケティング(8時間)、決算書の見方(5時間)、立地の見方(5時間)、店舗開発(5時間)、売場の数字(3時間)、商談技術(2日間)、売場作り実習(1日間)、問題解決能力(4時間)など多岐に渡ります。全て提案型営業担当の能力要件なのです。必死で取組み続け、その殆どを一人で運営出来るようになりました。その結果、参加対象者の状況に応じたカリキュラム内容のカスタマイズは当然として、全体をストーリー化した組み立ても可能になったのです。そして、多くの研修コースを誂えることが当たり前の仕事作法として根付いたと思います。

 教育機会の評価方法は三つあると思っています。先ずは自己評価です。自己責任意識で客観的にPDCAサイクルを着実に回すことです。二つ目は、運営事務局のオブザーバーによる評価ですが、詳細は別の機会に譲りましょう。最後は、受講者・参加者の研修所感による評価になります。これは、講師を含めた運営側への通信簿です。先ず、コース目的が達成出来たかどうかが判ります。さらに、教育機会の質的向上に不可欠な研修内容、担当講師の進め方の質や分かり易さなどを知るための重要な手掛かりとなります。私の場合、研修コース毎に、研修所感の質問を適宜作り変えます。コース内容を鑑みて問いかけを工夫するのです。全員の回答から、教育ニーズの発見、進め方や教材の見直しなど、新たな気づきや改善のヒントを得ることが出来ます。そして研修所感からのご褒美は、受講によって新たな目標を見い出して現場に戻ってくれることです。成長のための課題が明確になって、明日から再始動するという決意を抱いてくれることです。これらが教育機会のキーポイントと位置づけて、全力投球を心がけてきました。

 全力投球のご褒美は、百人百様でしょう。私にとっての最終的なご褒美は、やり遂げた達成感がやる気の源泉になっていることです。これからも、まだまだ尽きない問題意識を全力で呟き続けたいと思います。

   人財開発部/EDUCOいわて・学び塾 主宰  井上 和裕(2022.8.17記)

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