最近のエッセイでは、言葉や語句に関することを何度も取りあげました。自粛生活が続く中で、心に響く言葉や語句、そして言い回しの有難さを実感することが、何度かありました。直接頂いたものから、間接的なものまで色々です。それだけいくつものストレスで、気持ちが過敏になっている証左だと思います。また仕事のオンライン化が叫ばれている中で、文言の温か味を感じる直接対話が減ってしまったことが影響しているかもしれません。文言に対して、かなり敏感になっているのです。
研修の中で、話を本題に戻したい時、或いは視点を変えて考えてみたい時の教材として、詩を持ち出すことがあります。前回のテーマでした“心に沁みる”効果も狙っています。「祝婚歌」(吉野弘)や「生きているということは」(永六輔)は、その代表例です。「雨ニモマケズ」(宮沢賢治)、「自分の感受性くらい」(茨木のり子)、「想像力」(中桐雅夫)も、その仲間になります。いずれの詩も、言葉には力があることを教えてくれます。説得力があります。共鳴させられます。目の前の受講参画者の表情を見れば、そのことが明らかなのです。それ以来、ショートエッセイにチャレンジしたことがありました。2007年から2008年にかけてだったと思います。気がつけば、ある作品が出来上がりました。エッセイ15回“『はひふへほ』っとするショートエッセイ”(2012年5月1日掲載)として紹介したポエム風エッセイです。今回のエッセイは、その自作のショートエッセイを改めて紹介したいと思います。
さらに、提案したいことが二つあります。先ず、お気に入りの詩を、再点検してみませんか。それらの詩を紹介し合いませんか。お気に入りの理由を拝聴しながら、言葉の力を感じ続けたいと思います。もう一つ、自分自身の矜持や思いのようなものを、自作してみませんか。身近な仲間と披露し合いませんか。思いを共有しながら、言葉の力を感じ続けたいのです。
ショートエッセイ「言葉の力」
言葉の力~詩から学んだこと
言葉には 人の心を震わす力があります
言葉には 人の心を動かす力があります
どうしたらいいのか 戸惑ったり 迷ったり 躊躇して後退りしそうな時に
多くの人の心を チョッとだけ押し出してくれる
言葉には そんな力があります
だから 言葉の意味を きちんと知ることが大切です
そして 自分の身体で考えて 考えて考えて 言葉を磨くことが大切です
それを繰り返していると 発する言葉が重たくなってきます
だんだん だんだん 熱さが宿ってきます
そうなってきたら その言葉に心を込めて 思いっ切り ぶっかけます
重くて熱い魂の言葉だから 人の心を打つのです
人の心に届くのです (2008年12月23日作)
EDUCOいわて・学び塾・種蒔き塾 井上 和裕(2021.7.7記)