自分に対して警報(アラート)を出せる正しい知識を身に付けたい

投稿日:2020年9月14日

 日本人の医師や感染症・ウイルス専門家が、世界各地で活躍していらっしゃいます。今回の新型コロナウイルス禍で、そのような実状を学ぶことができました。日本国内でも、多くの医療従事者や専門家が地域医療を支えていることも知りました。医療崩壊が危惧されている中での懸命な姿を、シッカリと脳裏に刻み込んでおきたいと思います。また、何か月も新型コロナウイルス感染防止対策と向き合い続けている多くの一般生活者の存在も、決して忘れてはいけないと心に刻んでおります。

 新型コロナウイルス感染症の実態が、半年間で徐々に明らかになってきました。それらの情報は、日々アップデートされて届けられます。私たちにとって欠かせないのが、日々の感染防止対策でしょうか。最近思うことがあります。文言が変われば行動レベルでイメージできないことが出てくることです。真意を消化できない内に、対策法が入れ替わることもあります。そのためでしょうか、気づかぬままに実態とのズレが生じてしまうのです。例えば、夏場のマスク着用問題がそれにあたります。暑さからくる熱中症などの身体への負担を考えると、ソーシャルディスタンス(2m)が保たれていれば、屋外でのマスク着用は不要といわれるようになりました。私は、密の状況に応じて着けたり外したりしております。しかし、持病持ちの多い高齢者の方は、暑さの中でもマスク着用比率が高いように感じます。屋外での体育の時間も、マスクをしている中学生もいるようです。理由を訊けば、“ウイルスが気になって外せない”というのです。マスク着用のあり方も、3月時点とは変わってきています。新型コロナウイルスの実態が明らかになってきた一例でしょうか。

 日常の現実社会において、何事もリスクがゼロということは有り得ません。感染症も同じです。リスクをどこまで認めてどうやって付き合っていくのかということに尽きると思います。最終的には、自分自身をコントロールして、自分に対して警報(アラート)を出せる正しい知識を身につけることではないでしょうか。また、この新型コロナウイルス禍は長期戦といわれています。ですから、長続きできる感染防止対策を見つけることが重要になってくると思うようになりました。そこで薬剤師の出番になります。病院薬剤師、保険薬局薬剤師は、持病を持った患者・生活者に対して、それぞれが自己判断できる正しい情報を提供する努力が求められると思います。日々アップデートされる新型コロナウイルス関連の正しい知識や情報を身に付けることが、しばらくの間の最優先課題ではないでしょうか。健康サポート薬局の担い手である薬剤師の職能は、思いのほか多岐に亘っています。新型コロナウイルス禍において、その事に気づき新たな取り組みにチャレンジすることは、生活者にとって身近なサポーターの知恵の素になると思います。

 4月上旬、福島市でうさぎ薬局を経営する堀江氏(薬剤師)から、共感できるメールを頂きました。改めて紹介したいと思います。(2020年4月21日投稿エッセイで一部掲載済み)「東日本大震災における福島原子力発電所メルトダウンや拡散した放射能問題、そして今回の新型コロナウイルス感染症など、未知のものに対して不安や恐れを抱くのは当然のことです。我々は薬剤師という医療従事者であり、地域生活者にとっての“かかりつけ健康アドバイザー”なのです。雑多な情報に惑わされず、理性を失わずに、地域生活者に対する的確なアドバイス、正確な情報提供の必要性をヒシヒシと実感ております。私自身ができる目の前の現実に対して、全力でスピーディーに対応する所存です」

     井上  和裕(2020年9月10日記)

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