エッセイ204:教育機会の全行程を、私一人で運営する

投稿日:2020年3月18日

 今年(2019年)は、平成の締めの年であり、令和の扉が開いた年になりました。

 この一年間を振り返りますと、年明けから、例年以上の勢いでスタートを切りました。企画し直した人材育成計画に沿って、着々と準備を積み重ねたのです。3月からは、来年3月卒業者の採用活動も加わり、状況対応しながら、4月まで順調に推移しました。1月からの四ヵ月間は、冬の寒暖差を物ともせず、風邪を引きがちの季節の変わり目も難なく乗り越えて、4月下旬からの10連休を迎えたのでした。

 連休明けの5月7日(火)の朝、起き掛けに、いつもとかなり違う体調の異変を感じました。平熱が低い私の体温が、37.5度まで上がっていたのです。午後には38.3度と更に上昇し、食欲はゼロに近く、動く気力もありません。結局、思いもよらなかった腎盂腎炎と診断され、5月いっぱいは静養にあてました。無理をしているという認識はありませんでしたが、抵抗力が弱っていたのかもしれません。70才を過ぎて、50代、60代と同じペースで日常を乗り切ることは、やはり難しいと実感した次第です。一方、これからの人生のあり方を見直すきっかけにもなりました。この年令でもお役に立てる仕事のあり方を、体力の許す範囲で追究したいと思います。

 2019年のアンカーエッセイは、年間新入社員研修(導入研修とフォロー研修)の全カリキュラムを具体的に紹介する予定でおりました。10連休明けの予期せぬ病気で、5月以降の予定を大幅に変更した関係で、年間新入社員研修の紹介は、次年度に先送りしたいと思います。

 研修は、意図もなくカリキュラムを順番に並べるものではありません。目的達成のためには、カリキュラム全体をストーリー化して運営することが、何にも増して大切なことなのです。今までのエッセイの中で、何度か言及してきたことでもあります。そのような理由から、今回は、私のささやかなこだわりを呟きたいと思います。誇りもプライドも、私には不似合いな言葉ですから、こだわり以外の表現が見つかりません。言い方を変えれば、意地になってでも実践し続けていることの紹介になります。

 

教育機会の全工程を、私一人で運営する

 最近、使うことの多い言葉があります。若い方々に対する場合が多いようです。

 それは、「セルフ(Self)○○○」という表現です。セルフヘルプ(自助力)、セルフコントロール(自己統制)、セルフマネジメント(自己管理)、セルフモチベーション(自己動機付け)です。もう一つ、私の造語かもしれませんが、セルフリーダーシップ(敢えて訳せば、自律)という言い方をしたこともあります。

 これらは、後輩に対して行動のあり方を考えて頂く時にも使いますが、最終的には、私自身への行動指針なのです。これらのセルフ○○○を私自身に言い聞かせることで、かなり難しい仕事のハードルをも乗り越えようとしているのです。研修を運営する場合で、紹介したいと思います。

 私が企画し運営する研修会(教育機会)は、全行程を、私一人で運営しております。講義・実技指導・討議の進行・所感のチェックなどを、私一人で運営するということです。合宿の時は、参加者全員の健康管理にも気を遣います。研修会の全行程が、5日間でも、2週間・3週間であっても、その考え方に変わりはありません。このハードルの高い作法を、30年も前から続けております。ただし、実務経験のないカリキュラムについてだけは、最適役の現場担当者にお願いします。また、育成を目的として、後輩を指名してチャレンジしてもらう場合もあります。

 ちなみに、新入社員導入研修においては全体の80数%、新入社員フォロー研修・なかた塾では100%が、私の担当する時間比率になります。10年間続けている学び塾(現時点で全23回)も、全て私が企画し運営してきました。

 何故そうするのか?肝心要の理由にも触れておきましょう。

 いくつか理由がありますが、直接向き合って共に学ぶことで発見できることが多いのです受講者一人ひとりの成長度、伸ばしたい長所、優先順位の高い改善点、取組姿勢など、長い時間をかけて継続して相対することで初めて見えてきます。経験則かもしれませんが、それで得られる見識こそが人として貴重なのです。73才の体力では、一人で運営することの限界点にかなり近いのですが、2019年のアンカーエッセイとして、あえて紹介させて頂きました。

(2019.12.10記)

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