エッセイ136:いのうえ塾のオンリーワン「ホームルーム」その1・WHY

投稿日:2017年5月19日

 私が企画し運営する“いのうえ塾”オリジナルカリキュラムの一つに、ホームルーム(以下、HR)があります。全日程が何日であろうと、毎日スケジュール化して進めております。1日の始まりには必ず、終礼時には状況に応じて適宜組み入れます。その日のスタート時は40分から60分、終礼時は数分から20分程度と、所要時間は様々です
 今回、“何故(WHY)、毎日HRを実施するのか?”というHRの意図を明らかにしたいと思います。研修時にHRの時間を設けるようになってほぼ30年になります。今では、呼び方は別にして、他のどの企業にもない“いのうえ塾”オンリーワンのオリジナル企画と自負しております。

いのうえ塾のオンリーワン「ホームルーム」その1:WHY

 教育担当就任当時、「教育とは何か?」、「企業内教育の目的は何か?」という問題意識が、全身にまとわりついて離れませんでした。行き着いた先は、“潜在意識・潜在能力を引き出すことが企業内教育の根幹ではないか!”という本質論だったのです。
 それ以来、全ての教育機会を企画し運営する時のプラットフォームを、“社員一人ひとりの潜在意識・潜在能力を引き出して自己啓発・相互啓発出来るようにする”と位置付けました。それが不易の理念となりました。そして、“引き出す時間をどうしようか”と試行錯誤しながら辿り着いたのが、ホームルームと名付けたカリキュラムだったのです。専任教育担当に従事して3年目(昭和63年/1988年)の新入社員導入研修から、正式に組み入れてスタートさせました。

 いのうえ塾におけるHRでの一番の問題意識は、“自発的やる気をいかにして喚起するのか”、“能動的に学ぶ姿勢をいかに引き出していくのか”の二点に尽きるのです。具体的内容と進め方は、その二点を意識して編成します。当然のことながら、全てのカリキュラムにも相通じることです。つまり、究極的なHRの目的は、そして存在意義は、『①自発的やる気の喚起』であり『②能動的な学びを引き出すこと』になります。
 一方、それぞれのカリキュラムには、特定分野の技術的能力開発を目的にしている関係上、心構えを始めとした行動理論や態度に関する時間を付加することが難しいのも事実なのです。つまり、所定のカリキュラムでは取りあげることが出来ない『③心構え・行動理論を看脚下して見直す、見直して正す』時間の必要性からも、HRというカリキュラムを考え出したのです。
 それ以外の目的として、『④視野を拡げて観る、聴く、感じる』、『⑤着眼点(視点、観点)を増やす』、『⑥状況対応を可能にする引き出しを積み上げる』ということも、併せて意識しております。そうすることで、目の前の課題と向き合って『⑦考える、掘り下げる、組み立てるという思考習慣を身につけさせたい』のです。
 欲張りのようにも思えますが、①から⑦までの目的は、問題解決の思考プロセスという視点から考えても、それぞれが関連しあっている、或いはつながっていることが明らかだと思います。

 もう一つの重要な側面として、『⑧理解度の確認、検証』、『⑨理解度の促進』があります。その日に学んだこと、或いは前日学んだことの中でも、特に重要な個所を重要であると共有化することを忘れてはいけません。受講者の脳裏に叩き込むことを野放しにしておいては、教育担当者失格ですね。費用と時間の無駄遣いにつながりますから。
 最後に一言…。これだけの目的を達成するためには、画一的な内容の編成では対処し切れません。その時の状況に応じて対応できるように、二の矢、三の矢をも用意して臨まなければいけません。そういうことが当たり前に出来るようになって、初めて一人前のプロと呼ばれるわけです。
 次回のエッセイでは、HRの具体的姿を紹介したいと思います。
                                                                   (2017.2.11記)

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