エッセイ98:一人前の教育担当者への関門

投稿日:2015年10月20日

 つぶやきエッセイを書き始めたのは、2005年(平成17年)4月1日でした。このホームページには掲載しておりませんが、“「どんな薬剤師になりたいですか?」~それが私の第一声です”が、第1号のタイトルになります。
 当時のエッセイに対する私の取組み意欲は、それほど高くはありませんでした。その状況を鑑みれば、“思えば遠くへ来たもんだ”というのが、率直な感想になります。つまり、10年以上もの長きにわたって呟き続けるなんて、夢にも思っていなかったのです。今年の7月第一週の数日間、第1回からの全エッセイ(約380回)をざっと読み流してみました。その内のいくつかは、何度か読み返しました。
 今回のエッセイは、採用担当者つぶやきエッセイをスタートさせたきっかけ、そしてそのきっかけを思い出しながら、教育担当の後輩に投げかけたあるひと言をつぶやいてみます。

一人前の教育担当者への関門

 エッセイを書き始めたのは、当時入社したばかりの調剤薬局チェーンのホームページ(以下、HP)の見直しがきっかけでした。10年以上も前のことです。
 何年かにわたって手付かずのままのHPを、抜本的にリニューアルすることになったのです。成長戦略の一環です。その任を全権委任されたのです。私が信頼する就職情報企業との協同作業で骨格を構築しながら、リニューアル後の更新情報のあり方に苦慮しておりました。それだけは、私の責任で進めなければならない、と感じたからです。
 当時、企業のHPの良し悪しの評価基準に、“更新情報のアップ頻度”がありました。中小企業の場合、何ヶ月も更新情報無しの企業があります。そこで、更新情報を毎月アップすることを最大の目標に掲げたのです。それも、企業姿勢や考え方をメインに発信することにしました。考えた末に、私がエッセイを書いてアップすることになりました。これが第一のきっかけです。
 その裏で、つぶやく内容について四苦八苦する状態が始まりました。かなりのストレスでした。プラス方向のストレスに舵を切るために、その5年前に描いていた私の将来の夢に登場願いました。岩手大学人文社会学部に社会人入学して、「自発的(内発的)やる気を喚起する企業内教育のあり方、進め方」、「調剤薬局における人財育成の一考察」の2論文を書きあげる夢です。
 実際、私が確信を持って問題提起できるテーマは、人事業務の一部である人材開発に関する内容です。その中でも、採用と人材育成をメインテーマにして、“行けるところまで突っ走ろう”と決めてスタートしました。これもエッセイ執筆の潜在的きっかけだったと思います。
 今年の7月上旬、10年間の全エッセイを読み流し、あるものは読み返しながら、改めてその傾向を確認することが出来ました。平成27年7月までにつぶやいたエッセイの過半数が、人材育成や企業内教育に関するテーマであるということです。現状実態、現状実態への問題提起、将来の方向性と今後の課題に始まって、教育とは、マネジメントとは、リーダーシップとは、企業の教育担当者のあり方・要件などの持論など、その都度湧き上がってきたテーマを羅列しながら、現在に至ったのです。
 余談ですが、そのような認識から、今後のエッセイをリニューアルして、人材育成に特化してつぶやこうとしているのです。以上が、10年間続けてきた“採用担当者つぶやきエッセイ”の動機や理由になります。
 さて、数日間を使ったエッセイの振り返り作業で、後輩の若い青竹の教育担当者に対してアドバイスをしたあるひと言が蘇ってきたのでした。「一人前の教育担当者としての関門は何か?」という意見交換の中で辿り着いたひと言でもあります。
 「自分自身の生き方や考え方を、自分の言葉で語り、問題提起をして、その輪の中に目の前の受講対象者を引き込むことが出来る様になること」と。その後輩は、22歳で私の部下になり、関門を通過するまでに10年近い試行錯誤の時間を要しました。通過してからは、落ち着いて語りかけ、粘り強く対話を繰り返し、本質をはずさない進め方が出来る様になったのです。安心して任せることが可能になったのでした。難しい課題を乗り越えた努力に、改めて敬意を表した7月20日でした。
                                                      (2015.7.20記)

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