4月2日(月)から20日(金)までの15日間、新卒新入社員導入研修を実施いたしました。23日(月)からは、配属先での実務実習に入ります。
中田薬局にとりましては、創業以来、初めての本格的な新入社員研修になります。
2年前からスタートさせました“なかた塾”のオルガナイザーであり講師の井上和裕氏(盛岡在住)に依頼し実現いたしました。井上氏は薬剤師で、四半世紀にわたります企業内人事・教育業務の中心的な立場で活躍された経歴をお持ちです。その進め方の基本は、グルグル回りの引き出す対話と、考えて意思決定し、さらに実行するというやり方です。職種や年令を問わずに自発的やる気を喚起するという、何かマジックを見ているような、目から鱗の毎日を体感させてくれる15日間でした。
2回にわたりまして、井上氏自身のレポートで、平成24年中田薬局新卒新入社員導入研修報告をさせて頂きます。
受講者は、薬学部六年制の第一期生1名、医療事務3名(短大卒、高卒)の計4名です
平成24年中田薬局新入社員導入研修報告2-1
EDUCOいわて・学び塾を主宰し、中田薬局の人材育成を委嘱されております薬剤師の井上でございます。新入社員導入研修の報告をさせて頂きます。今回は、主にカリキュラム内容や進め方、そして、重要な考え方やポイントを中心にご紹介したいと考えております。
【オリエンテーションの“開講宣言”での問いかけから】
私が実践しております教育についての考え方の基本は、“一人ひとりが目的意識を持って、自ら考え、自ら判断し、自ら取り組み、自ら行動するというセルフマネジメント力を発揮して、自分自身の力で自己の潜在意識・潜在能力を引き出すこと”につきます。
先ず、その考え方を、理由を添えて新入社員全員と共有化することからスタートしました。その上で、問いかけとグルグル回りの対話を繰り返しながら、新入社員の全知全能を開花させることに注力したのでした。
その“問いかけ”と“説(と)いかけ”の一部を、以下にご紹介させて頂きます。
『勉強の目的は何?学ぶ目的は何?』、これが問いかけの第一声です。
10分ほどの対話を通して、このように説いかけました。
『一つ目は、“自力で生きていける力を身につけること”、“自分の力で人生を楽しく、健全に生きていくための考え方・生き方、手法を学ぶこと”です。二つ目は、“周りの人たちと協働していける力を身につけること”になります。つまり、自助力と共助力をセットで鍛練することです。三つ目は“人間性や人格を磨くこと”ではないでしょうか。私は、“心を耕すこと”と表現しております』と。
さらに、この言葉をつけ加えました。
『研修は、その目的実現のための相互啓発の場である。なぜなら、人は一人では生きていけないからです。人は相身互いなのです』と。
次に、このように問いかけました。『それでは、具体的に何を学ぶのですか?』と。
『心構え、考え方、執務態度、知識、技能、学び方・勉強の仕方、知識の在処(ありか)……』
そして、『入社してからの3年間は、徹底してそれらの基本を身につけましょう。その理由は、修破離です。修破離って聞いたことありますか?知っていますか?修破離というのは、……』と続けました。
以下、『基本修得のコツは何だろうか?』、『私からの七つのメッセージは … 』と、真剣勝負の対話を繰り返し実践していきました。
初日の研修所感で、問いかけと対話の意義を感じとってくれたことが、ハッキリと見てとれました。そのことが、何よりもの貴重な授かり物になるのです。
【主な研修カリキュラム】
基本構成や進め方・スタンスは今までの“なかた塾”や“いのうえ塾”“学び塾”と同じです。第一週と第三週のカリキュラムは、主に“一人の人間としての側面”と“ビジネスパーソンとしての側面”をメインに組み立てております。
一方第二週は、“薬剤師・医療事務・医療人というスペシャリストの側面”をメインに構成しました。そして、カリキュラムは順不同に並べるのではなく、15日間全体が一つのストーリーになるように編成しております。“仕事は流れである”ということと同様に、新入社員導入研修のカリキュラムも、一連の物語になるように編成することによって、効果的な成果に結びついていきます。真剣に取り組み続けている時の4名の眼差しは、決して忘れることはないでしょう。そして、そんな時に表れるあの頬の引きつりと眩しさによる目眩も、終生、私の心の中に残っていることでしょう。
以下、主なカリキュラムを紹介いたします。
4月2日(月)
「入社手続き」「就業規程の説明」「オリエンテーション」「社長講話」「研修所感作成」
*「オリエンテーション」の内容は、“開講宣言”から始まって、“研修のねらい”“ねらい達成のためのスケジュール・カリキュラム”“研修の成果をあげるための心構え・行動のあり方”“人生の門出にあたっての先輩からのメッセージ”“役割分担”(挨拶係、研修当番、2分間スピーチ)などです。その他に、恒例の井上プロジェクト“同期の歌”と“MY新聞作成”の方向づけも行いました。3時間かけて、全員理解と共有化を意識して進めました。
4月3日(火)~6日(金)
「企業理念」「中田薬局の歴史と会ロゴマークの由来」「プレゼンテーションの基本」「職場内コミュニケーションのあり方」「仕事の進め方の基本(PDCAサイクル・6W3H)」「指示・報告・質問意見」「チームワークとは」「薬局内の基本ルール」「薬局での基本マナー」「ビジネスマナーとは」「正しい姿勢と服装」「ビジネス文書の基本」「正しい言葉遣い」「人生と仕事」「問題とは」「成功確率が高い問題解決の基本手順」「問題解決の秘訣」「自分の身近なところに目標をおこう」「薬剤師の倫理1:“誓いの碑”から何を学ぶのか」「薬剤師の倫理2:“出陣学徒壮行の地”記念碑から学ぶことは」「5S」「ハインリッヒの法則」「研修所感作成」・・・
*1日のスタートは、研修室の清掃からです。掃除終了後は、必ず「ホームルーム」の時間を持ちました。昨日の振り返り、本日の目標と研修内容の確認、諸注意・諸連絡、研修担当からの心の琴線に触れるショートトーク、ミニグループ討議、等などです。
圧巻は、2分間スピーチです。600文字の原稿を作成して、2分間で自分自身の思いを効果的に伝えるコミュニケーション能力の訓練として実施しました。成果の大きさを実感するとともに、自分自身のことを仲間に対して隠さずに語る姿から、人間にとって必要なコミュニケーションの資質が、徐々に開花していくことが確認出来ました。
4月9日(月)~13日(金)、16日(月)~17日(火)
「保険制度の仕組み」「調剤報酬算定の仕方と保険請求業務」「調剤薬局業務の概要」「調剤の基礎」「窓口対応」「薬剤管理指導(服薬指導)」「薬歴の重要性と記載の基礎」「調剤薬局関連法令」「調剤過誤防止について」・・・
*実務に関することは、社長と3名の管理薬剤師が担当いたしました。中田薬局の調剤内規や調剤過誤防止の手引きなどの自社マニュアルを中心に、基本的知識を一つひとつ確認しながら進めました。
4月17日(火)~19日(木)
「応対、応接のマナー」「人間関係のルール」「真のスペシャリストへの道」「入社一年間で身につけたい22の行動習慣」「日本一のお茶くみ」「信念を持つ」「どろあしのままで」「MY新聞の作成」「自己宣言の作成」「まとめ」
*新入社員導入研修の総まとめのカリキュラムが、「真のスペシャリストへの道」です。基本修得のための3年間の行動指針、スキルアップのための着眼点、目標の設定、目標実現のための方法を、考えながらの対話を通じて築きあげていきました。
併せて、入社式での自己宣言(入社の動機、研修の感想、目標・志)の内容をまとめたり、「MY新聞」の仕上げの時間もとりました。
*19日(木)は、新入社員歓迎会が行なわれました。終始、大きな笑い声と歓談の中で、緊張しながらも、入社の喜びをかみ締める4名の姿がありました。
4月20日(金):「総まとめ」「入社式」
*一人ひとりが立派な自己宣言を披露してくれました。行け、進め、前途有為の若人よ!
以上が、入社直後からの新入社員導入研修の主なカリキュラムになります。
これからの一年間は、丸一日の新入社員フォロー研修を、計5回予定しております。都度、ご紹介させて頂きます
(2012.4.22記)