第10回釜石医師会学術講演会

投稿日:2013年12月3日 研修会

日時:平成25年11月29日(金)  18:15~
場所:ホテルサンルート釜石
演題:「血圧が下がらない3つの理由と6つの要素、その対策は?」
演者:岩手医科大学 内科学講座 心血管・腎・内分泌内科分野
    准教授 蒔田 真司 先生

今回の講演会では血圧が下がらないという身近なテーマについて、要因と対策についてポイントをまとめて解説していただきました。
血圧上昇因子として交感神経活性の亢進が挙げられ、この要因として睡眠不足や飲酒があります。充分に睡眠がとれた群で夜間、早朝の血圧上昇が抑えられ、正常の日内変動に回復したという例や、メタボであっても中等量の飲酒は心筋梗塞発症リスクに影響を与えなかったというデータから、睡眠や飲酒が血圧に与える影響について新しい見解を学ぶことができました。
併用薬による血圧上昇の影響も無視できません。NSAIDs使用例では利尿薬と血管拡張薬を、漢方の偽アルドステロン症には利尿薬が有効ですが、カリウム値低下のおそれがあるため、アルドステロン拮抗薬の使用も考慮する、ステロイド使用例では降圧薬の種類を問わず増量を考慮するなど、併用薬の種類によってどのように降圧薬を使い分けるのか対応に違いがあることがわかりました。
血圧値の「見どころ」が適切でないという観点では、性差による違いがあることを知りました。女性では1回目の血圧が高くても測定回数を重ねるごとに低下する傾向があることから、2回目以降の測定値を信頼したほうがよいこと、一方男性では1回目の高値血圧と心血管イベントとの関連を除外できないため、1回目と2回目の平均値で判断したほうがよいことがわかりました。
また、キリンの血圧は260mmHgと高いが、脳の血圧を測定すると140mmHgくらいであるという例から、身長の高い人は低い人に比べて血圧が高くなる(脳に血流を送るためにも)という話も興味深かったです。個々の患者さんによって降圧目標の微調整があってもおかしくはないとのことでした。
処方意図や個々の背景も考えながら、今回学んだことを少しでも患者さんの治療に活かせるようにしたいと思います。

松倉店 藤原春香

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