エッセイ65:等身大で良いのだ

投稿日:2014年6月5日

 今年の誕生日で、満68歳になります。
 八年前になりましょうか。就業形態や関わり方が何であれ、内容が何であれ、“納得できる仕事には、可能な限り一生涯携わる”と決めて、現在に至っております。
 ただ、数年前から、少々弱気虫が顔を出す時があります。寄る年波には勝てなくなってきたからです。勝ち負けといっても、何かと勝負を決しよう、というのではありません。体のあちこちから“無理はご法度”との叫び声の頻度が増え、さらにその叫び声の強さが増してきた、ということなのです。
 その実感している寄る年波のいくつかを囁いてみましょうか。

等身大で良いのだ

 先ず、10年近く前から降圧剤を服用するようになりました。さらに、8年前には軽い痛風発作に見舞われました。その痛風発作、それ以来、毎年、決まって同じ時期(新卒新入社員合宿研修中)にだけ顔を出すようになりました。血中尿酸値は少々の基準値超えでしたが、それ以来尿酸排泄促進剤のお世話になっております。これらのおかげで、血圧も尿酸値も落ち着いてはいます。
 また、軽度の逆流性食道炎のようで、夕食後3時間経ってから就寝するようにしております。
 視力の衰えは顕著です。パソコンでの資料作りの時間が多いからでしょうが、能率にも大きく影響してきます。明らかに、集中力はガクンと落ちました。小さな文字は見え難いので、新書本や文庫本を読むのに一苦労します。積読本が40冊にもなりました。さらに、眼球の充血や逆さまつ毛によるゴロゴロ感、眼の奥の鈍痛などで、眼科のお世話になる機会も増えております。眼圧は正常で、いつもヒアルロン酸とビタミンB12の点眼剤が処方されます。ドライアイとのこと。
 数年ほど前から、耳鳴りが気になる時があります。その分、耳が遠くなったような気もします。昨年夏頃、初めて耳鼻咽喉科の門を叩き、何度か診て頂きました。歯が欠けたり、歯磨き時に冷水が沁みることもあって歯科医院にも通いました。酸蝕歯の影響でしょうか・・・。
 ちょっとした力仕事で手指の関節がはずれるようになってから、8年以上になりましょうか。回転式のキャップの開閉には四苦八苦する時があります。温風ヒーターの灯油タンクやペットボトルの栓をひねっても、回せない時があるのです。シッカリ握ることができないのです。何とも情けなくなります。
 躓いたり、転びそうになる頻度も増えました。ほんの数ミリの段差にひっかかったり、ちょっとした傾斜で足首をひねったり、50歳代前半までには考えられないほどの体力の衰えを実感しています。ひじ関節や背筋が痛くなることもしょっちゅうです。
 毎年インフルエンザワクチンを接種していますが、ちょっと油断すれば風邪をひくことがあります。回復には時間を要するようになりました。体が固くなっており、就寝後に寝返りを打つのも一苦労です。
 このような状態ですから、診察券は二桁の枚数になります。ですから、高齢者の医療費増大が取りあげられますと、肩身が非常に狭くなります。心が萎えてしまいそうです。
 それでも、健康管理には相当に気を遣っていますし、軽い症状の時は通院も控えております。

 ことほど左様に、無理はできなくなりました。気合でどうにかなるものでもありません。ですから、“身の丈オーライ”を基準にしながら、ユッタリ気分の毎日を心がけるようになりました。
 等身大で良いのだ、と思えるようになってきたのです。そうすることで、考え方に変化が起きてきました。
 先ず、自分自身のことを客観的に観ている自分が分かるようになりました。
 過去のことを、素直に冷静に見直したり、反省するようになりました。相手のことを先に考えようとする精神的な余裕を感じることもあります。
 その等身大、5年ほど前から口にする頻度が格段増えた気がします。
 それにしても、診察券の多さには、心が萎えてしまいます。それも本音です。

                                          (2014.3.7記)

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