エッセイ60:大きな本屋さんにて、そして県立図書館にて

投稿日:2014年3月20日

 今回のエッセイは、昨年12月につぶやきましたエッセイです。

大きな本屋さんにて、そして県立図書館にて

 昨年11月下旬のある日、9時半に家を出ました。午前中は本屋さんのはしごをしました。午後2時過ぎからは岩手県立図書館を訪れました。
 欲しい書籍があったわけでもありません。時々やるタウンウォッティングであり、書店ウォッティング、書棚ウォッティング、書籍ウォッティングです。
 圧倒的な質量の本を目の前にして、今年一年の心の垢を落とすことにしました。

 多くの本屋さんの難点は、購入候補の本を置いていない場合が多いことです。取り寄せすると、返本は利きません。私の場合、内容を確かめてから購入したいので、ついつい在庫切れの頻度が低い本屋さん(以下A書店)を利用することになります。
 A書店では、検索用のパソコンで、該当する本の取り扱いと在庫の確認が出来ます。他の本屋さんならば取り扱っていないと想定される本も、ほとんど間違いなく取り扱っています。私の場合、当てが外れたことは稀です。
 A書店のフロア面積はどれ位でしょうか。200坪はありましょうか。担当の方に取り扱っている書籍数を訊ねましたが、笑顔のみで回答は得られませんでした。答えられないほどの書籍数なのでしょう。
 岩手県立図書館は、4フロア合計で10,590㎡(約3210坪)の広さだそうです。受付と閲覧スペースのある3階部分は4,186㎡(約1,270坪)で、かなりゆったりとした閲覧席があります。現在の蔵書数は706,658冊で、収蔵能力は153,5万冊とのこと。(岩手県立図書館ホームページ、平成25年3月31日現在)

 想像を絶する圧倒的な質量の知の中に埋もれていると、人間一人ひとりがいかに小さな存在であるかを窺い知ることになります。思い知らされることになります。世の中は、そのような人間の集合体として息づいているのではないか、と考えてしまいます。
 そう考えると、等身大で謙虚に生きていこうと安心して思えてきます。誠実に精一杯生きていこうと思えてきます。
 そう考えていくと、改革だとか、変革だとか、つかの間、どうでもいいことのように思えてきます。小さな改善を積み重ねることの方が、ずっと自然のような気がしてきます。

 今年数多く使った言葉を振り返ってみました。
 謙虚、誠実、真摯、努力……。
 これら(謙虚、誠実、真摯、努力)に勝る知恵はないように思えてきます。私のような凡人にとっての知見であり経験則かもしれません。
 多くの知識の中を泳いでいると、ついつい何かと比べて、自己満足の優越感に浸っている自分が恥かしくなります。肩肘張って強がっているのが惨めに思えてくるのでした。
 そんな、平成25年11月下旬の一日でした。

                                                                        (2013.12.14記)

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