エッセイ47:5年目を迎えた学び塾にズームイン

投稿日:2013年9月5日

 今回のエッセイは、このエッセイの筆者であります私が主宰しております“学び塾”につきまして、6月中旬につぶやきました内容をご紹介させて頂きます。
 この学び塾のホームグランドは福島県です。東日本大震災と福島原発事故を乗り越えて、塾生の熱意で継続している塾です。

5年目を迎える学び塾にズームイン

 学び塾がスタートして丸4年になりました。転職や転勤などの理由で、初回のメンバー数は半分以下になりましたが、メンバーの絆や継続の意志は変わりありません。
 片道4時間を物ともせず、無欠席の方がいらっしゃいます。学び塾のモットーである「もっと学びたい、もっともっと学びたい。だから教えてください」という自主的成長意欲旺盛な皆さんの集まりなのです。設立主旨が竜巻で吹っ飛ばされない限り、自力で継続してまいります。私も片道2時間強の移動時間ですが、全く苦にもなりません。私を育てて頂いた方々や世間様に対しての、せめてもの恩返しなのです。
 6月9日(日)の第11回学び塾は、「素直な心とは雨が降ったら傘をさす」という呼びかけでスタートしました。それは、ある程度の経験を積んだ以降に発症し勝ちな“わかったつもりになって、何故?と考えることをしなくなる”思考停止病の予防ワクチンとして接種するためです。人間は気が緩んでいないと思っていても、微細な隙間から緩みの芽が発生していることがあります。そんな私の老婆心からの忠告です。学ぶ時には「頭を空っぽにすること」の再確認にもなります。
 塾生の社会人歴年数は、最長で8年間、最短でも4年間になります。皆、高い問題意識を維持して、目の前の仕事に精一杯向き合ってきました。気がつけば、かなりの数の経験を積みあげてきました。その成果として、提起した問題や課題に対して発する意見や考え方から、成長の後が伺えるようになりました。
 学び塾の目玉カリキュラムはコロキウムかもしれません。今回の学び塾で、全員が第2回コロキウムの発表を終えました。2回目のコロキウムでは、全員が同じ課題に挑戦して頂きました。全員が同じ研究課題に取り組み、“①薬剤師の職能を果たすための原点となる志を再構築して、自分の言葉で解りやすく表現出来るようにする”、“②一人ひとりの志を青図に描いて、塾生全員の共有財産とする”というねらいです。
 研究課題は「私の考える地域医療実現のための“かかりつけ薬局”の姿」とし、具体的な概念図を用意し、それを10分間スピーチで発表する形式にしました。東日本大震災、福島原発事故を経験したことが、研究課題解決の主柱になりました。
 いくつもの仕事経験や試行錯誤を通して、一人ひとりが目指す薬局像、薬剤師像が社会人一年生の時と比較しても、幅が大きく広がり奥行きもかなり増していることが実感できました。
 何よりも、この4年間で、私の問題提起に対する反応度が明らかに違ってきました。反応速度のアップはもちろんですが、内容と提起理由への反応度合いが格段に高くなっているのです。反応度が高いということは、提起する問題について既知状態にあり、それも言葉だけではなく内容についても理解している比率が高くなってきているということです。
 それは、ビジネススキルの基本に関すること、マネジメントやリーダーシップに関することなど、共通専門能力(全て職種に共通して必要な専門能力)が身についてきていることを示しています。様々な課題に直面しながら、最終結果が何であれ、様々な苦悩や試行錯誤を通して獲得したのではないでしょうか。人間を成長させてくれる教材は、日々の仕事と生活の中にこそあるのです。学び塾の4年間だけではなく、社会人になってからの出来事と誠実に向き合って、コツコツこつこつ努力し対処して積みあげた結果が見てとれるのです。「観る、聴く、感じる」、「考える、組立てる、掘り下げる」、「表す、伝える、説得する」という問題解決の思考プロセスも身についてきたように感じております。
 これらの成果が、いつ、どこで結実するか、それは誰にも分からないでしょう。私が問いたいのは、“一人ひとりの考えている顧客に対して、現在の等身大の努力を継続しましょう”ということにつきます。
 五年目を迎える学び塾、これからは、マネジメントや人材育成の基本のほかに、もっと難しい課題への取組み、さらにステップアップした内容を要求するコロキウムなどを通して、コンセプテュアルスキル修得を意識した学びの機会を提供していく考えでおります。全人的共育こそが、学び塾のカラーなのです。
                                                                                      (2013.6.15記)

〔参考〕第3回コロキウム実施要項
1.ねらい
(1)薬剤師の顧客に対して、健康増進や予防医療などの啓発活動を、能動的に実施出来るようにする。
(2)町の科学者として、生活者に対して積極的な働きかけを行うためのあり方とやり方を追究する機会とする。
(3)幅広い視野と多様な着眼点を身につける実践的共育機会とする。
2.研究課題など
(1)研究課題:「薬剤師の顧客に対する啓発的講演を行う」
   ①内容:顧客(講演対象者)を特定した上で、各自の考えで設定すること。
        尚、“講演内容を何故選定したのか”は、スタート時に必ず言及すること。
   ②演題:各自が考える。ただし、講演対象者が演題から講演内容が理解できるように工夫すること。
(2)時間:40分間(最大50分間まで可とする)
(3)資料:レジュメは必ず用意して、そのレジュメにメモ書きが出来るようにする。
      必要と判断した補足資料があれば、各自の判断で用意する。

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