エッセイ22:やはり、若いうちに身につけたい“問題解決の思考プロセス”

投稿日:2012年8月2日

 *このエッセイは、平成24年2月20日のエッセイになります。

 東日本大震災、そして福島原発事故から、一年が経とうとしております。
 教わったことを整理してみました。大きく二つありました。一つ目は“その時点で出来ることを覚悟して決めること”、もう一つは“決めたことは行動に移すこと”です。
 私が決めたことは、エッセイの中で呟いたこともあります。
「負けてたまるか」は、気弱な気持ちや言い訳付きやらない病の予防剤にしております。
継続することを固く誓ったのが、都度感じたこと、気づかされたことを、「問いかけ続けること、問題提起すること」です。
 そんな気持ちを堅持しながら、今日も呟きます。

 今回のエッセイは、前回の続編です。将来、“思いつきを、これしかないとばかりに思い込み、部下に押し付けて、それでお終い”にならないための見解です。

やはり、若いうちに身につけたい“問題解決の思考プロセス”

 先ずは、2012年年初のエッセイから、「教育の基本理念5」と「教育活動の基本原則1」の二つの復習から始めましょう。

●基本理念5『私達の能力を発揮する場所は、仕事場である。最終的には、顧客との接点である現場や窓口、日常のオフィスとなる。そして、一人ひとりの仕事そのものが、最高の能力開発機会(チャンス)である。このことは、自分の手で課題を見つけだし、仮説を立てて、PDCAサイクルをスパイラル状に回すことを意味する』:仕事が教材
 最高の育成テーマは、まさしく仕事そのものです。日々の出来事です。日常の仕事や出来事を教材に出来るのは、本人とその上司の“問題意識”と“感受性”ではないでしょうか。育成&成長の教材は、自分の周りの身近なところに転がっています。自分事(じぶんごと)として捉えたいものです。そして、解決するためには、具体的な目標と6W3Hを動員した計画が不可欠です。
 結局、“成長という産物は、簡単には手に入らない”と、最初から認識して対処するべきものではないかと、つくづく感じてしまいます。

●基本原則1『会社・各組織の教育方針・教育計画と社員一人ひとりの個別育成計画を、できる限り合致させること』:目標による管理
 P・F・ドラッガー氏をご存知ない経営者・管理者はいらっしゃらないと思います。日本の企業経営に多大な影響を及ぼし、“経営の神様”とか“マネジメントの父”といわれた経営学の第一人者でした。
 そのドラッガー氏は、このように言われたそうです。「経営に哲学があるとすれば、それは“目標と自己統制によるマネジメント”である」と。“目標と自己統制によるマネジメント”は、通称、“目標による管理”とか“目標管理”と呼ばれております。
 仕事の進め方の基本は、“目標による管理”を土台にして、PDCAサイクルをスパイラル状に回していくことです。人材育成も“目標による管理”に包括して進めていくことです。これは、基本原則6を実現するためのスタートラインなのです。

 社員や部下・同僚の教育課題が眼の前にあって、その課題解決策を議論する時、多くの場合に考えるのが集合研修かもしれません。主要な教育機会・育成機会は、その集合研修に代表されるOffJT、OJT、自己啓発の三つです。しかし、それだけで良いのでしょうか?
 基本理念5で言及しておりますが、最高の育成機会、能力開発機会は、仕事そのものである、というのが私の考え方です。そのことが、どうも見逃されているように思います。つまり、日々の仕事や出来事の問題解決の繰り返しこそが、学んだ基礎知識を磨きあげ、技能化をスパイラルアップするのです。その継続の結果が成長という成果を生み出すのです。自分自身の仕事そのものだから、自分事として真剣な思いで取り組むことが出来るのだと確信しております。余談ですが、日常の仕事上の問題解決のことを、私はOJLと表現しております。

 それでは、前々回のエッセイで取りあげました“思いつきを、これしかないとばかりに思い込み、部下に押し付けて、それでお終い”にならないようにするためには一体どうしたらいいのか、もう少し掘り下げてみましょう。
 今までも繰り返し言及しております“問題解決の思考プロセス”を、問題解決時に意識して発動することです。最初は上手くいかなくても、必ずそのプロセスを踏んで、問題や課題に立ち向かうことです。その要点を、数年以上前にまとめたエッセイから転用します。私が運営する教育機会は、この問題解決の思考プロセスを土台にしてオルガナイズするようにしております。

 つぶやきエッセイ第34回(06.3.20)では、“成功確率が高くなる問題解決の基本手順と要点”について取りあげた。今回は、基本手順を動かすための思考プロセスについて申しあげたい。いのうえ塾の殆んどのカリキュラムでは、このプロセスを発動する仕組みで運営するよう工夫している。
 スタートは、「感じる、観る、聴く」である。「問題意識・感受性、観察、傾聴」と言い換えても良い。問題意識のアンテナを高くして感受性を働かせ、事実を客観的に掴むことを表している。掴むためには、現物・現人・現場の三現主義で観たり聴いたりすることしかない。問題を特定したり、原因を把握する時にこそ、真価が問われるのがこのステップである。
 次のステップは、「考える、組み立てる、掘り下げる」ことである。これらの行動は、別々に進めることもあるし、同時に発動することもある。ケースバイケースである。経験が浅いうちは、この段階で停滞してしまうことが多い。だから、簡単に手を打ってしまうことになる。
また、仕事はチームワークである。構成するメンバーが役割を分担しながら、全体の仕事を完成させることになる。さらに“仕事は流れ”という観点に立って考えてみると、問題が起きた時には、関わる人たちがその解決に当たらなければならない。そうなれば、「考える、組み立てる、掘り下げる」というステップに、議論が加わってくる
 そこで登場するのが、「表す、伝える、説得する」ということである。正しく、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力の出番である。余談だが、「プレゼンテーションの定義・目的」を理解していれば、「表す、伝える、説得する」ことの重要性が納得できるはずである。
 メンバー全員が理解し納得することで、成功確率は飛躍的にアップする。そのためは、この“思考プロセス”を“基本手順”の中で実践することだ。この二つは、車の両輪なのである。
現実には、誰かに(それも関わっていない人に)丸投げするケースも見受けられる。ジレンマの中で試行錯誤しなければならないことも多いかもしれない。でも、根本療法に取り組んで頂く人が増えてくれることを祈念している。

 皆さん、いかが感じましたでしょうか。意見交換しませんか。有志よ、来たれ。

(2012.2.20)

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