エッセイ319:良いお年を……

投稿日:2024年12月26日

 昨日はクリスマスイブでした。離れて暮らす高校生の孫たちから、恒例のクリスマスカードが届きました。誕生日カードと同じように、末尾には“大々々…々 好き”と書かれています。唯々嬉しい毎年の定期便なのです。冬至を過ぎて少~しづつ日脚が伸びてきますが、本格的な寒さはこれからです。一昨日は、この一年を振り返りながら、これまでとはチョッピリ異なる感覚を味わっております。2024年締めのエッセイは、その中身を呟きながら、この一年に感謝したいと思います。

良いお年を……

 今年一番難儀したのが、80個あった横幅10㎝のファイルボックスの整理でした。一年間で、何とか8割近くは片付いたようです。難儀した理由が、いくつかありました。丁寧に資料をめくっていると、当時の入り混じった苦労と喜びが、一所懸命に対処したあかしとして思い出されてくるのです。愛おしさのような感情が滲み出てきます。それだけ、目の前の課題と正面から向き合って、何とかしようと精一杯取り組んだからでしょう。それにしても、30才代後半からの10数年間の頑張りと仕事実績に驚いております。実績というのは、その時々の経営環境の変化を先取りして対応した難テーマに挑んだことです。さらに、そのテーマに付随する幾つかの課題に対しても、迷うことなく一途に取り組んだことです。

 挑んだ難テーマの一つが、「人事と教育の一元化」でした。30数年前のことです。これからの時代は人材投資が最優先課題と定めて、“多機能化人財を、いかに集め、いかに鍛え、いかに活かし、いかに報いるかの仕組み作り”にチャレンジしました。最終的には、“生き生きとした全員参画型の創造的企業文化の醸成”を視野に入れたTHR(Total Human resource Revolution)を目指したのです。社員教育を人事機能に統合(一元化)することで、五百数十名の社員がモチベーションを高めて仕事を楽しむ企業文化を作りたかったのでした。

 その骨子について触れておきましょう。仕事の進め方を“目標と自己統制によるマネジメント”(以下、目標管理)とし、人事評価と個別育成を統合して、コミュニケーションツールの使用帳票も一新しました。また、“経営目標を自力で達成し続ける真のプロフェッショナルの育成”を旗印に、教育体系や研修制度を見直し、教材を含めて一から再構築しました。自負したいのが、目標管理と新人事制度の理解と定着のために、全社員への啓発機会を企画運営したことです。マニュアルや帳票を配布して終わらせるのではなく、マネジャークラスと一般社員とに分けた全社員対象の職能別研修機会を、拠点ごとに実施したのです。また、目標管理の基本と本質を学ぶ機会として、3泊3日のマネジメント基礎コースと部下育成実践コース(面談のロールプレイング)を企画し、部下を持つ管理者全員に受講してもらいました。

 これらを作りあげるに当たって、基本の考え方から手法に及ぶまで一から学び直しました。今で言うリスキリングです。何十冊もの関連書籍や人事関連の専門誌を読み漁り、人事教育に関する外部研修をいくつか受講しました。今にして思えば、私の人生における信念のプロジェクトⅩだったのです。残しておいた数々の資料や書籍に目を通して、完結するまで6年を要した「人事と教育の一元化」は、会社にとっても大事業だったと感じております。この機会に、そこまで追い求め続けられた要因が何であったのかも考えてみました。何をおいても、一緒に取り組んだメンバー(同志)、物心両面で支えてくれた同僚と先輩、そして当時の社長の存在が大きかったと思います。経費削減が大声で叫ばれていた時に、社長の一声で教育訓練費が削られることは全くありませんでした。さらに、力を入れた研修には、何度となく顔を出してくれたのです。客観視できる今だからこそ、そのように総括できるのだと思います。そんなことを振り返りながら、当時の社長とメンバーに、心から感謝するクリスマスとなりました。

 さて、今年も私が精一杯呟くエッセイにお付き合い頂きまして、誠に有難うございます。この一年の日常を謙虚に振り返りながら、感謝の気持ちで新たな年を迎えたいと思います。皆様、良いお年をお迎えください!

   EDUCOいわて・学び塾主宰/薬剤師 井上 和裕(2024.12.25記)

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