エッセイ285:あなたは、いくつご存知ですか?

投稿日:2023年8月21日

 いくつになっても知らないことがイッパイあるからこそ、いつまでも新鮮な心に沁みる感動に巡り合えるのではないでしょうか。そんな理性と感性を失うことなく、柔軟な姿勢で謙虚に学び続けたいと思います。今回のエッセイは、今年になって感動したことの一端を紹介させて頂きます。何やら、いつもと違った趣きの内容になりそうな予感がしております。

あなたは、いくつご存知ですか?

 時々、興味をそそられるテレビ番組名に出会うことがあります。その一つが、NHKテレビ地上波総合で放送されていました“ニッポン知らなかった選手権実況中!”です。

 2017年から特別番組として不定期放送された後、昨年7月から9月に若年層ターゲットゾーン枠で放送された番組だそうです。今年に入って、1月17日(火)からレギュラー第2期として放送されたことで知りました。番組概要をネットで検索すると、企業や業界団体が内輪で開催するスキルアップのための知られざる技術大会を、大量のカメラを投入してその超絶の技を実況形式で迫るという番組なのです。私の感じた驚きは、プロの技術を自助努力でブラッシュアップする生真面目な大会が存在するということ、それも考えが及ばない多種多様な大会が継続して実施されていることでした。

 1月24日(火)の「第19回千里メディカルラリーwith阪大救命」は、救命救急医療の技術大会という謳い文句に誘われて録画しました。これまで放送された大会のいくつかを書き出してみましょう。「第1回神の手チャレンジ全国大会」は、腹腔鏡手術に使う小さなマジックハンドのような鉗子を扱う技術を高めるために、その鉗子で鶴を折る速さと正確さを競う大会で、27名の医師が参加していました。その他「第70回電話応対コンクール東京大会」、「第12回梱包コンテスト」、「第17回オールジャパンケアコンテスト」、「第45回物置組立競技会」、「第6回DTPオペレーター技能競技会」などが、放送済のニッポン知らなかった選手権です。(NHKホームページにて)2月21日(火)の「第17回全国学校給食甲子園」も面白かったです。全国から選ばれた栄養教諭と調理員コンビ7組が、1時間以内に自慢の給食メニューを6人分作って後片付けするという大会です。採点項目は衛生管理、見た目、味、チームワーク、調理技術、地域産物のいかし方でしたが、審査の厳しさから、全国の学校給食担当者の矜持を感じました。

 民放番組で紹介された「スポGOMI甲子園」からも、私の感性が揺さぶられました。主催団体のホームページ(https://www.spogomi.or.jp/zenkoku)によれば、全国の高校生が各地区でごみ拾いを競い合って、ごみ拾い日本一を決める大会です。1チーム3名が、60分間で予め決められた競技エリア内でごみを拾い、その量と質を競い合う地球に最もやさしいスポーツと謳っていました。大会常連校の埼玉県立川口工業高校(以下、川工)には掃除部というユニークな部活があります。部員数は31名(2022年12月現在)だそうです。昨年の「スポGOMI甲子園2022」で2年ぶり2回目の優勝をしました。この掃除部という部活は、全国どこを探しても見当たらないようです。高校のホームページ(https://kawaguchi-th.spec.ed.jp/)には、その活動状況が適宜アップデートされており、地域住民や地元企業から認められ愛されていることが判ります。記憶に残る応援したくなる部活です。

 川工掃除部の活動を通して、30年前のことを思い出しました。TK販売時代の新入社員導入研修(3週間)カリキュラムとして、2時間の街頭クリーンアップ作戦を企画実施したことです。清潔を社是とする会社でしたから、ひたすら会社周辺のごみ拾いを行ないました。道路に捨てられているごみの種類と量を体感することと、その実態からモラルの意味を考えることがねらいでした。

 いくつもの選手権大会は、私のやる気の鐘を打ち鳴らしました。それは、参加選手一人ひとりの仕事や活動に対する使命感と愛情です。勝って驕らず、負けて腐らず、お互いのパフォーマンスを認め合う姿から、私のモチベーションが高まっていきました。私たちの周りには、やる気や希望を呼び起こしてくれる素材が、アチコチに存在しています今回のエッセイは、その一例の紹介でした。まだまだ知らない心を耕してくれる企画があるでしょう。問題意識のアンテナを高めて、自助努力で見つけましょう。あなたは、いくつご存知だったでしょうか?

   EDUCOいわて・学び塾主宰 井上 和裕(2023.6.19記)

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