*昨年12月に書き上げたエッセイです。
今年(2021年)の4月に入ってから、A-4版1枚のエッセイ作成にチャレンジすることにしました。それまでのエッセイの多くは、A-4版2枚で3,000文字前後のボリュームが過半数を占めています。問題提起の意図をご理解頂くためには、出来る限り詳しい理由や経緯に言及することが絶対条件という意図からです。気がつけば、多くのエッセイがA-4版2枚になっていたということになります。
一方で、もっと簡潔で分かり易いエッセイにしたいという思いが、常に頭から離れなかったのです。採用担当者つぶやきエッセイ第1回から数えて400回を超えるあたりから、A-4版1枚を目指したいという思いが強くなったと思います。過去にも、A-4版1枚程度のボリュームのエッセイがあって、“読み易い”という評価の声を一再ならず頂いておりました。昨年暮れあたりから挑戦してみようと思い始め、新年度の4月に目標を掲げて、エッセイ235回からチャレンジをスタートさせました。挑戦して数か月もしないうちから感じていることがあります。それは、分かり易さを維持しながら、枝葉の言葉を削ぎ落すことの難しさです。しばらくの間は、理解につながる簡潔さの追究を、試行錯誤し続ける所存です。A-4版1枚を意識しながら、A-4版1枚だけに拘らず、その都度のテーマに合わせたボリュームでいこうと考えております。
2021年最終月のエッセイは、今でも続けている私の仕事作法の一つを取りあげてみたいと思います。これまでのエッセイとダブる部分があるかもしれません。それだけ気に懸けている作法ということになりましょうか。
一語一句全て書き出すことから始めるのが私の基本作法の一つ
私が担当する研修カリキュラムの進め方の準備は、レポート用紙などの白紙に、一語一句全て書き出すことから始めます。いわゆる台本作りです。教育担当成り立ての頃は、それだけの準備をする余裕がありませんでした。54才で転職してから、心機一転の証しとして取り組み始めたと記憶しております。その理由は、私の思いや考え方、具体的方途を、より正確に、より確実に伝えたいからです。理解・共感・行動変容に導くためには必須のステップだと強く感じ始めたからでした。それは私なりの使命感・責任感の発露であり、裏を返してみれば、自信の無さの行き着く先だったと思えてなりません。
一語一句書き出していくと、文言を始めとした表現が、ステップアップすることを何度も味わいました。視野が拡がって、より的確な文言へと発展していく感覚です。何度もというより、毎回感じることであり、練り直しながらステップアップしていることに気づかされます。具体的には、根幹となる重要な部分と、それらを補完する枝葉の部分が明らかになってきます。また、文言一つひとつを吟味することで、より的確な表現へと誘ってくれるのです。そのような行為を繰り返していると、使う言葉が非常に大切であり、大切だからこそより多くの言葉を知っていた方が良いと実感するようになりました。余談になりますが、読書を奨励する意味が納得できる気がします。何しろ、言葉は相手との重要な共有財産ですから。
一語一句書き出す作法は、結婚式の祝辞や講演の場合も変わりありません。特に、結婚式での祝辞に気を遣ったことを覚えております。話す文言全てを書き出した原稿作りに、何をおいても注力しました。言葉を積み重ねていくと、私自身の考えや思いがシッカリ確認できるのです。受け取る相手の方に喜んで頂くためには、書き出して推敲する行為が私に出来る一番の基本礼儀作法なのです。
人財開発部 井上 和裕(2021.12.8記)