今年(2019年)は、平成の締めの年であり、令和の扉が開いた年になりました。
この一年間を振り返りますと、年明けから、例年以上の勢いでスタートを切りました。企画し直した人材育成計画に沿って、着々と準備を積み重ねたのです。3月からは、来年3月卒業者の採用活動も加わり、状況対応しながら、4月まで順調に推移しました。1月からの四ヵ月間は、冬の寒暖差を物ともせず、風邪を引きがちの季節の変わり目も難なく乗り越えて、4月下旬からの10連休を迎えたのでした。
連休明けの5月7日(火)の朝、起き掛けに、いつもとかなり違う体調の異変を感じました。平熱が低い私の体温が、37.5度まで上がっていたのです。午後には38.3度と更に上昇し、食欲はゼロに近く、動く気力もありません。結局、思いもよらなかった腎盂腎炎と診断され、5月いっぱいは静養にあてました。無理をしているという認識はありませんでしたが、抵抗力が弱っていたのかもしれません。70才を過ぎて、50代、60代と同じペースで日常を乗り切ることは、やはり難しいと実感した次第です。一方、これからの人生のあり方を見直すきっかけにもなりました。この年令でもお役に立てる仕事のあり方を、体力の許す範囲で追究したいと思います。
2019年のアンカーエッセイは、年間新入社員研修(導入研修とフォロー研修)の全カリキュラムを具体的に紹介する予定でおりました。10連休明けの予期せぬ病気で、5月以降の予定を大幅に変更した関係で、年間新入社員研修の紹介は、次年度に先送りしたいと思います。
研修は、意図もなくカリキュラムを順番に並べるものではありません。目的達成のためには、カリキュラム全体をストーリー化して運営することが、何にも増して大切なことなのです。今までのエッセイの中で、何度か言及してきたことでもあります。そのような理由から、今回は、私のささやかなこだわりを呟きたいと思います。誇りもプライドも、私には不似合いな言葉ですから、こだわり以外の表現が見つかりません。言い方を変えれば、意地になってでも実践し続けていることの紹介になります。
教育機会の全工程を、私一人で運営する
最近、使うことの多い言葉があります。若い方々に対する場合が多いようです。
それは、「セルフ(Self)○○○」という表現です。セルフヘルプ(自助力)、セルフコントロール(自己統制)、セルフマネジメント(自己管理)、セルフモチベーション(自己動機付け)です。もう一つ、私の造語かもしれませんが、セルフリーダーシップ(敢えて訳せば、自律)という言い方をしたこともあります。
これらは、後輩に対して行動のあり方を考えて頂く時にも使いますが、最終的には、私自身への行動指針なのです。これらのセルフ○○○を私自身に言い聞かせることで、かなり難しい仕事のハードルをも乗り越えようとしているのです。研修を運営する場合で、紹介したいと思います。
私が企画し運営する研修会(教育機会)は、全行程を、私一人で運営しております。講義・実技指導・討議の進行・所感のチェックなどを、私一人で運営するということです。合宿の時は、参加者全員の健康管理にも気を遣います。研修会の全行程が、5日間でも、2週間・3週間であっても、その考え方に変わりはありません。このハードルの高い作法を、30年も前から続けております。ただし、実務経験のないカリキュラムについてだけは、最適役の現場担当者にお願いします。また、育成を目的として、後輩を指名してチャレンジしてもらう場合もあります。
ちなみに、新入社員導入研修においては全体の80数%、新入社員フォロー研修・なかた塾では100%が、私の担当する時間比率になります。10年間続けている学び塾(現時点で全23回)も、全て私が企画し運営してきました。
何故そうするのか?肝心要の理由にも触れておきましょう。
いくつか理由がありますが、直接向き合って共に学ぶことで発見できることが多いのです。受講者一人ひとりの成長度、伸ばしたい長所、優先順位の高い改善点、取組姿勢など、長い時間をかけて継続して相対することで初めて見えてきます。経験則かもしれませんが、それで得られる見識こそが人として貴重なのです。73才の体力では、一人で運営することの限界点にかなり近いのですが、2019年のアンカーエッセイとして、あえて紹介させて頂きました。
(2019.12.10記)