エッセイ186:会議の担当者・司会者の基本心得あれこれ!

投稿日:2019年6月11日

会議の担当者・司会者の基本心得あれこれ! 

 会議の実態や活性化に関して3回にわたって取りあげました。176回のエッセイでは、会議の機能をシンプルに見直した上で、それまでの実体験をもとに作成したチェックリストを紹介しております。活性化の入り口となる現状実態と問題点を把握することが主目的でした。それらを踏まえて、会議活性化推進のキーパーソンの一人である会議担当者や司会者が、どのような点を意識して運営し進行したらいいのかを考えてみたいと思います。
 本題に入る前に、復習も兼ねまして「会議の機能と参加者数・所要時間の関係性」をまとめておきましょう。
 連絡・報告や情報提供がメインであれば、人数制限の必要性はありませんから、参加者数が多くても構いません。ダラダラと時間をかけることなく、効率性を意識しタイムパフォーマンスを高める工夫をすれば引き締まった会議が実現できます。ただし、内容の本質が理解されることが目的であることを忘れてはいけません。
 経営幹部の所信表明や説示が中心となる定例会議、入社式などのセレモニー的会議も、先ほどのケースと同様ではないでしょうか。儀礼的要素が高いように思われがちですが、重要な方針や見解を直接聴く数少ない機会になります。経営者や経営幹部の説示・訓示の場合には、全社員参加ということもあるでしょう。可能な限り多くの関係者が参加できるような運営をすることです。進め方に関しては、必要な時間をキチンと予測して企画をすることが肝要となります。
 情報収集がメインの場合は、収集情報の重要度・緊急度によって、参加者数も時間も臨機応変に対応することがポイントでしょう。
 会議に求められる一番の機能は、“意思決定”の場であり、“相互理解・共有化”の場ということにつきます。意思決定に必要な“情報交換”、“質疑応答”、“相談・調整”という機能が、絡まり合ってきますし、そもそも“英知を結集して知恵を出し合う”場が会議なのです。議題によって出席者を適宜適切に選出しなければなりませんし、所要時間が大きく変わることもあります。
 いずれにしても、会議の機能と議題の性格(緊急度、重要度)によって、会議運営担当部署は会議の準備段階から心配りと的確な対応が要求されます。それも会議の目的に即した準備でなければ失格となるのです。そのような問題意識で対処することが、会議担当者・司会者の心得の大前提ではないでしょうか。

 いざ会議がスタートすれば、会議のリーダー的役割を担うことになります。それは、進行司会者の腕の見せ所であることを意味します。セレモニー的会議や伝達がメインの会議であれば、予定に沿った進行が中心となります。何よりも円滑な時間管理を優先すれば事足りる場合が多いでしょう。
 それ以外の機能を有する会議の場合は、限られた時間の中で、いくつもの役割を果たさなければいけません。ファシリテーター、コーディネーター、カウンセラー、ディレクターなど、状況に応じて演じ分けることが求められるのです。どうやって乗り越えていけばいいのか、会議の運営担当者・進行司会者の心得を“会議司会者の基本心得イロハ”と名付けて、10項目ほど考えてみました。当然の内容と思われるかもしれませんが、その当たり前が済し崩しにされてしまうことも現実には多いのです。実は、このような身近な小さな工夫の実践こそが、会議の形骸化を阻止する要諦なのだと感じております。
 余談になりますが、これらの心得の多くは、研修会におけるグループ討議の進行役の心得にも当てはまりそうな気がしております。

  会議司会者の基本心得イロハ

1.議題は事前告知を原則とし、より具体的な表現で明示する。
2.参加者は、会議の議題に関係のある人に限定する。
3.ホワイトボードのような共有化可能な書き込みツールを用意する。
4.参加者全員の顔が見えるような席の配置をする。
  ・コの字型、丸型など、参加人数に応じて工夫する。
  ・研修会の場合は、グループ分けをして島型で運営する。1グループの人数は6名前後がベスト。
5.席次は固定しない。役職に関係なくバラバラに座るようにする。
6.スタート時には、会議の目的と目標を明示し共有化する。
7.発言時間や休憩時間などの時間管理は、状況に応じてコントロールする。
8.議題によっては、グループ討議、グループワークを組み入れる。
  その場合、各グループの結論や経過・理由を、参加者全員が共有する時間を設ける。
9.文書化した議事録を作成して、参加者全員が共有する。
10.会議の成否は、運営担当者・進行司会者の責任という自覚を持つ。

                                          (2019.2.27記)

【参考①】会議の実態や活性化に関するエッセイ
 ・エッセイ166回:会議やグループ討議から得られる宝物(2018.6.10記)
 ・エッセイ171回:会議の六悪を見つめ直してみました(2018.8.1記)
 ・エッセイ176回:会議の機能と会議活性化のチェックリスト(2018.9.5記)

【参考②】私の考える“教育担当者の役割・機能”:エッセイ130回(2016.10.15記)より
    
 各組織が主人公となって、組織ぐるみで人材育成に取り組み、
      活き活きとした組織風土作りを企画・運営・推進する演出家(ディレクター)であり、
 社員一人ひとりが、自らを主人公と位置づけ、
      能動的に自問自答しながら潜在能力を引き出す促進役(ファシリテーター)であり、
 壁にぶつかった時の助言者(メンター)、聴き手(カウンセラー)、道案内人(ガイド)であり、
 『やって見せて、言ってきかせて、やらせてみて、ほめてやらねば人は動かじ』を、
         いつでもどこでも実践している指導者(インストラクター、コーチ)であり、
 人と人、人と情報、人とノウハウ、人と資源を結びつけて、
         相互理解、相互啓発を推進する調整者(コーディネーター)である。

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