最近、私の中では、プロセス重視の姿勢が、以前にも増して強くなっているように感じています。今回のエッセイは、そのプロセスと結果の関係性についてつぶやいてみます。
プロセスは結果の根源
この数年、いやこの10年間、最終結果にそれほど興味が湧かなくなってきたように思います。だからと言って、目標必達魂が衰えているわけでもありません。スポーツであれば、贔屓のチーム、応援する人の勝利を喜び祝福するのは当たり前のことです。仕事であれば、企画立案した取組みやイベントの成功に向けて、目標の達成に向けて全力投球することに変わりはありません。しかし、以前に比べて、結果以上に心が動かされる関心の在処が存在するのです。
成否が何であれ、原因と結果の相関関係を自分なりに考えて、さらに結果の原因を結論づけて総括することに楽しみを覚えるようになったのです。結果の原因は、計画から始まって実行し終わるまでのプロセスの中に存在します。そのプロセスにこそ大いに興味をそそられるのです。納得のいくプロセスを企画し、そのプロセスを誠実に実行したのであれば、結果が何であれ共感を覚えるのです。失敗であっても、そのプロセスから次の手を学ぶことができるからです。
MLBマイアミマーリンズのイチロー選手は、スターティングメンバーの場合は当然として、ベンチスタートであろうとも、いつでもスタンバイできるように、常に同じスタンスで同じ質量の準備をし終えてから、その日の試合に臨むそうです。その積み重ねの結果が、数々の記録(業績)となって表現されているのだと思います。それが多くの方々の評価なのです。さらにファンの心を捉えているのが、40歳を過ぎても怪我をせずにパフォーマンスを維持していることへの畏敬の念でしょうか。イチロー選手の偉大な成績(結果)は、日々の丹念な準備(プロセス)があって実現していることの証しと言えましょう。
結果ばかりに目を奪われてしまい、目先の対応に血眼になっていると、肝心の根本的な問題解決能力が身につかなくなります。結果に対する原因分析が自律要因ではなく、他律要因が中心になってしまい勝ちです。そのような事態を何度も経験し、何度も見てきました。
プロセスに目を向ける人は、他律要因の分析もしながら、失敗の原因を他律要員のせいにはしません。先ず、失敗の原因を対自分自身に求めます。自律要因を徹底的に調べます。掘り下げて考えます。自律要因からつぶしていきます。
もう少し具体的な問題解決プロセスに落とし込んでみましょう。
結果とともにプロセスに目を向ける人は、問題解決の基本手順であるPDCAサイクルを回している人です。自ら考えて意思決定し、自ら実行する人なのです。自力でスパイラルアップできる人あり、自己啓発に長けている人です。また、失敗から学ぶことができる人ですから、気がつけば学習能力が高いと評される人でもあります。そのような基本的仕事遂行作法が躾化されていますから、的確な状況対応や応用によって対処することができる人なのです。
今回のエッセイは、“結果の原因はプロセスにあり”をつぶやきながら、結果とプロセスの両輪を重視する人の特長も考えてみました。次回は、プロセスを重視した根本的問題解決の手順をご紹介したいと思います。
(2015.6.15記)