投稿日:2012年3月1日 事例紹介
先日、私が訪問していた患者さんがお亡くなりになりました。
60代女性 肺がんが全身に転移。抗癌剤治療と放射線治療は苦痛のため中断して自宅療養。夫と二人暮らし。
震災後、昨年の8月より訪問がスタートしました。片道45分かかる遠いところです。夫は妻のために、料理、洗濯、掃除そして話し相手と休むことなく1日を過ごしています。時にはふざけて妻を笑わせ家の中を明るくしておりました。その暖かさが2週間に1度の私の訪問の際にも伝わりました。
妻(患者さん)は、ナチュラル細胞が活性していたためかずっと安定しており訪問時はいつも3人で30分以上はお話しをして帰ってきたものでした。今年になり突然体調を崩しお亡くなりになりました。
半年間のお付き合いで、薬剤師としての仕事は1包化を提案したくらいで役に立てる事はほとんどなかったですが、私にとっては大きな経験でした。夫の妻に対する献身ぶりは感動ものでした。
現在、在宅、在宅と我々の取巻く環境の中で騒がれていますが、簡単に上手くことではありません。もし、私が20代でしたら、今回事例は体験できなかったでしょう。先ずは、今現在の業務をしっかりと納得がいくまで遂行してください。その延長に在宅医療があります。在宅は人と人の関係が大切で、外来の何倍も人間くさいです。40代以降の人生経験豊富な薬剤師のみなさん在宅医療参加の道筋をつくっていきましょう。