皆さんの周りを見渡して、「あの人は勝負強い人だなぁ…」って思わせてくれる人をイメージしてみましょうか。テレビや映画などのマス媒体を通して知ったスポーツ選手、ビジネスパーソン、歴史上の人物でも構いません。その上で、その方々に共通すると思われる能力的側面には、一体どのようなものがあげられるのか、考えて頂きたいと思います。
スポーツの世界では、「… そこのところを修正して、後半戦には …」という表現を聞く事があります。思うようにいかなくて苦戦を強いられている時、勝つために発せられる抱負でしょうか。裏返して考えると、スポーツであれ、仕事であれ、日常生活であれ、日々変化する状況の中では、その状況の変化に即応して何をどうやって対処していくのか、自分で考えて意思決定する能力を鍛えることこそが、能力開発の主柱ではないかと思えてきます。
一言で表現すれば、自己判断能力でしょうか。その自己判断能力は、いのうえ塾などで強調しております“自己責任意識・目標必達魂・チャレンジ精神”の三つの心構えが、しっかりと根付いていることが大前提となりそうです。
今回のエッセイ、「何が自己判断能力を鍛えてくれるのか」のつぶやきです。
克己心が判断力を鍛えてくれそう
「克己は人間がかちとる勝利の中で、最も偉大な勝利である」
今から30年前に受講した2泊3日の研修で、担当されたインストラクターから何度も聞かされた金言の一つです。哲学者プラトンの言葉だそうです。今でも私の心に沁み付いて、決して剥がれ落ちることがありません。
人間だれでも強い側面もありましょうが、弱い面、もろい面も併せ持っています。失敗を他のせいにしたり、不満を口にしたり、やる気が失せるのを会社や上司のせいにしたり、取扱う商品が売れないのを景気のせいにしたり、…… 。そのような場合、精神的な弱さに押しつぶされてしまい、自分自身の至らなさを棚にあげて、その結果、考え方や心構えが歪んで正しい判断が出来ていないのです。謙虚に振り返ると、何度となくあったことに気づかされます。そんな時は、自分自身の心のコントロールが不能状態に陥っているのです。当然、的確な判断は出来ない状態になっています。
現実問題として、失敗したりや高い壁に阻まれて頭を悩めている状態の時には、普段は理屈で分かっていても、自分自身の心を上手にコントロールして対処することは、かなり難しいものかもしれません。しかし、その場から逃げ出すことは出来ません。仕事を投げ出すわけにはいきません。自分の甘さやマイナス思考をコントロールして、半歩でも前進するしかありません。
結局、己に打ち克って立ち向かうしかありません。私は、等身大で構わないと思います。6W3Hを総動員して、その段階で身の丈にあったサクセスストーリーを積み重ねていくのです。積み重ねるとは、PDCAサイクルを回すことです。ことさらDOすることです。実行することです。失敗も、しっかり検証(CHECK)すれば、サクセスストーリーなのです。その積み重ねこそが、自己判断力を鍛え上げてくれるのです。その結果が、勝負強い人間と評される個性へと羽ばたいていくのではないでしょうか。
そう、その都度の克己心が判断力を磨き上げてくれるのだと思います。
(2013.5.11記)