エッセイ348:困難な課題を乗り越える要因は何か?

投稿日:2026年2月19日

   *エッセイ348回は、昨年12月に書き上げたものです。

 この数か月、私の気持ちから“進取の精神”が離れることはありません。エッセイ346回(2025.11.19記)では、先行き不透明で希望の持てない時代だからこそ不易な行動指針と強調しました。よくよく考えてみれば、どのような時代環境であっても、現状維持の姿勢では、衰退の道を辿るでしょう。企業活動であれ個人生活であれ、何事にも相通じる現実の姿なのです。ですから、進取の精神を基本とした考動(思考&行動)習慣を、常に心に刻んでおきたい当たり前の基本姿勢として、日々精進したいと思います。翌年のカレンダーを目の前にしながら、進取の精神でいくつもの難題に取り組んだ10数年間の取組みを思い返して、新年(2026年)の私的な希望を描く準備をしたいと思います。

困難な課題を乗り越える要因は何か?

 進取の精神で取り組んだ難題の一つが、「人事と教育の一元化」でした。1年前のエッセイ319回(良いお年を……)で、取組み内容の一部を紹介しております。一番苦労したのが、新人事評価制度の導入でした。それまでは期末の目標達成度を評価の基軸にしておりました。それによるいくつかの弊害を取り除くために、“ゴールは出発点にある”、“成果は+α目標のチャレンジから”という考え方を取り入れたのです。期首の目標設定度を新設し、期末の目標達成度とのマトリックスで評価した目標遂行度を最終評価にしました。さらに、中期的視点による人材育成推進のために、「職務範囲拡大のための3か年育成計画書」を人事資料の一つとして導入しました。また、部門長と拠点責任者による人事委員会を新設し、社員全員の最終評価を横断的に検討する仕組みに改訂したと記憶しております。複数の立場からの多面評価によって、より公平で客観的な評価を目指した一例になります。1990年代の取組みです。

 「人事と教育の一元化」以外にも、全国拠点に先駆けて取り組んだ課題が幾つかありました。その一つが、事業の専門化と意思決定プロセスの簡素化などを目指したロジスティクス部門の分社化です。社員の新会社への転籍に関わる全業務に、人事担当として企画段階から関わりました。一番時間を要したのが、当該社員一人ひとりとのコミュニケーションだったと思います。また、障がい者の雇用推進、三位一体の社員育成体系の構築など、進取の精神でいくつものサスティナブルな課題に挑戦したことも思い出されます。今回紹介した課題は、今の時代に適応できる内容ではないかもしれません。強調したいことは、その時々の課題に挑戦し続けることです。進取の精神を持ち続けて、先を見た課題解決に努めることなのです。

 今振り返って、“これだけの難題に挑み続けて乗り越えられた要因は何か?”というのが今回のテーマでした。その要因は、グループメンバーとの相互信頼と方針・方向性の共有につきます。紹介した課題の多くは、推進責任者であった私一人の力で解決できるテーマではありませんでした。強くてしなやかでぶれないチームワークなしには成し遂げられない難題ばかりだったのです。そのようなチームワーク作りの核となっていたのが、私の部下だった人事課長Kさんでした。Kさんは、相手の話をしっかりと聴く方でした。受けとめて、相手の真意を探ろうと努める方でした。その姿勢が、強くてしなやかな相互信頼関係実現へと導いてくれたと思います。当時を振り返って、つくづく感じ入っております。特に、転籍業務は、Kさんなくして推進できませんでした。

 そもそも、仕事の多くはチームワークで成り立っています。難題の多い現状を注視しながら、チームメンバーとの相互信頼と方針・方向性の共有こそが、目指す成果につながる肝の一つだと確信しました。さらに、進取の精神に拘った10数年間を振り返ってみて、Kさん始め、当時のチームメンバーとの協働作業は、私自身を成長させてくれた機会であったことも教えてくれました。余談になりますが、ある時期からKさんにエッセイをお届けしております。以来、飾ることのない誠実な文言で綴られた読後感想を、年に数回は寄せてくれます。自身の近況報告とともに、仕事を共にした仲間のことまで添えてくれることもあります。Kさんと同じチームで切磋琢磨し合えたことに、改めて感謝の念が込みあげてきた師走になりました。        

   EDUCOいわて・学び塾主宰/薬剤師 井上 和裕(2025.12.18記)

【参考】エッセイ319回:良いお年を……(2024.12.25記)/エッセイ325回:自分自身でやらないと、先へは進めませんね(2025.1.30記)/エッセイ346回:先行き不透明の時代だからこそ“進取の精神”で!(2025.11.19記)/エッセイ168回:新人事制度導入や研究講座実施が、覚悟の根を丈夫にしてくれた(2018.7.1記)

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