2021年3月と4月にお届けしたエッセイ226回&227回では、私が考える地味な職種を取りあげて紹介しました。改めて、どれ位の数の職種があるのか復習したいと思います。業務内容によって分けた仕事の種類のことを職種といいます。“職業の種類”の省略と考えても良いでしょう。身近なところでは、営業、事務、研究開発、販売、設計、人事、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、放射線技師、医療事務などが該当します。その職種の数は、厚生労働省編職業分類2011年改訂版には、17,209種類が掲載されているようです。この職業分類は、厚生労働省の要請を受けて労働政策研究・研修機構が公表しています。13の大分類(管理的職業、専門的・技術的職業、事務的職業、販売の職業、輸送・機械運転の職業など)毎に、併せて17,209の職業(職種)が記載されているということです。
17,209もの職種の多くは、人知れず地味な職種が殆どではないでしょうか。一方で、私達が本当に困った時の助け舟としての職種が数多くあるのです。そして、それらはみんな、普段は意識されていない地味な職種なのです。師走を目の前にした今回のエッセイは、地味な職種をもう一度取りあげてみたいと思います。私なりのこだわりテーマになりそうです。
もう一度、地味な職種(職業の種類)を考える
皆さんご存知でしょうか?新型コロナウイルス罹患者を病院に搬送する民間介護タクシー会社アクトと、専門でウイルス罹患者を搬送するドライバーの存在を!コロナ禍で患者搬送が増えてきた昨年12月に名古屋市からの要請を受け、救命救急という社会的資源の確保が出来ないならということで始めたそうです。私が知ったのは、今年の1月下旬でした。ドライバーの一人は、家族と離れて同僚と生活されてるようです。動機とともに、何故そうするのかも紹介されていました。ネット検索すれば、東海テレビのHPに掲載されているようです。是非ともアクセスされては如何でしょうか。
次は、旧知の友人Aさんから教わった職種になります。精神保健福祉士をご存知でしょうか?メンタルヘルスケアが主任務で、精神科のソーシャルワーカーと言えそうです。新型コロナウイルス禍の自粛生活で、うつ症状の方が増えていると聞きます。友人Aさんの知人Bさんもその一人で、かかりつけ医から心療内科のC医院を紹介されたそうです。しかし、予約が混みあっていて、初診日迄ひと月以上も間が空く状況でした。それが一因で、Bさんの不安や心配事は、日に日に増幅してしまったのです。見かねたAさんは、C医院のホームページにアクセスして、患者相談室があることを知りました。相談室には精神保健福祉士が在籍して、患者や家族の相談に応じたり、きめ細かい支援をしてくれるのです。Bさんは初診日迄に三回ほど時間を割いて頂いたそうです。毎回1時間、Bさんの話に耳を傾けて聴き、ある時はアドバイスもあったようです。初診までの三回の面談は、Bさんにとってかけがえのない時間であったことは間違いありません。精神保健福祉士のような縁の下の力持ち的地味な職種は、数多くあるのではないかと思うようになりました。
もう一つ紹介したいと思います。エッセンシャルワーカーの代表でもあるごみ収集員です。新型コロナウイルス禍における危険を伴う作業実態や日々の苦労から始まって、ブレることの無い強い使命感や真のプロ意識を、昨年12月8日(水)のテレビ番組で知りました。番組名は、プロフェッショナル“自分を拾う、夢を運ぶ~ゴミ収集員・岳裕介~”(NHK・地上デジタル011)です。
今回は三つの地味な職種を取りあげてみました。エッセイ227回でも触れましたが、地味の持ち味は、滋味(豊かで深い精神的味わい)を提供することです。そのような職種の存在を、私たちはもっと知ることが必要ではないでしょうか。もっともっと想像力の羽根を拡げて、希望の灯を絶やさないようにしたいと思います。そのようなことを強く感じた2021年でした。
人財開発部 井上 和裕(2021.11.22記)
【参考】エッセイ226回:地味な職種は何か(2020.10.30記)/エッセイ227回:再度、地味な職種は何か(2020.11.7記)