感謝の思いを恩送りで!

投稿日:2020年4月27日

 私は、さりげない日常の当たり前に対して、どれだけ頭(こうべ)を垂れて感謝していたのだろうか?

 新型コロナ自粛の中で、つくづく感じております。いかに自分本位であったことか、自己中心的であったことか、…… 恥ずかしくなりました。東日本大震災、頻発する気象災害、外交問題の軋轢など、その都度同じことを感じていたはずです。喉元過ぎて、熱さを忘れてしまっているのです。これからの人生、日常の当たり前に対する感謝を、心の真ん中に置いて生きようと決めました。今回は、何故「日常の当たり前に感謝しよう」なのか、その理由に触れておきましょう。

 私が企画運営する新入社員導入研修では、『人生と仕事』というカリキュラムがあります。人生における仕事の意味や意義を考えることがねらいです。その中で、以下のような問いかけをしております。

  「人」や「人間」という文字の成り立ちを考えてみたいと思います。

 「人」は、“あなたが私を、私があなたを支えている”というように見えませんか。

 「人間」は『にんげん』と読み、“人は多くの人の間に存在する”ことを意味します。また、同じ文字を『じんかん』とも読み、あの世に対するこの世を指し、“人の住む世の中という意味になります。

 このようなことから、私達が日々生活している場や空間そして関係は、お互いがお互いを支え合っていることを表しているのだ、と思えてきます。

 よく考えてみれば分かることですが、人は一人では生きていけませんね。今の自分があるのは、どれだけ多くの方々のお世話になったことでしょうか。この機会に考えてみましょう。一人では何もできませんね。仕事もそうではないでしょうか。多くの仲間や協力者の支えがあって成就し、その中で自分自身も成長しているのです。

 もう一つ考えてみたいことがあります。人は誰でも、長所と短所を併せ持っています。自分を大事にしたいのであれば、他人の個性や存在を認めなければいけません。人は相見互いだということです。 ……

 感謝する時、いつも感じることがあります。それは、信頼を土台とした人間同士の関わり、人とのつながりの大きな可能性です。このような時だからこそ、感謝することを心に刻んで、日々過ごそうと思います。それで不安が解消され、元気が復活すれば良いのですが、そこまでいかなくても、間違った行動選択をしなくて済むと確信できるのです。感謝の思いが薄れてきた時、新社会人に問いかけている“お互いがお互いを支え合う”、“人は一人では生きていけない”、“人は相見互い”という生き方の原点に戻って考えたてみたいと思います。

 これまでの新型コロナ関連のエッセイでは、何に対して感謝するのか、誰に対して感謝するのか、感謝について何度となく言及してきました。さらに、“これからの人生の生き方を再構築する機会にしよう”と、自分自身に言い聞かせてきました。今回、こうやって感謝の気持ちを持って、これからの生き方を考えて行き着いたのが、“残りの人生は恩送りの旅”ということです。恩送りを意識したきっかけは、尊敬するスーパーボランティア尾畠春夫さんの生き方です。一年以上前でした。恩送りに関しては、昨年8月に起稿し今年1月に脱稿したエッセイ「発する言葉に魂を込めて意味づけをしよう」があります。エッセイ205回として紹介させて頂きます。

 ここふた月以上も、食糧・日用品などの必需品の買い物、持病の診察通院、人込みを避けた散歩以外は、外出を自粛しております。いま頼っているのが、EメールやSNSでのコミュニケーションです。離れている家族とのLINE・テレビ電話、知人・友人との弱音通話・近況報告・気遣う会話など、かなり心が癒されています。現在の楽しみにも、心から感謝しております。

  人財開発部   井上 和裕(2020.4.27記)

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